キジ猫世間噺大系

一人暮らしで猫を飼った男の末路

【微ネタバレ有】『怒り』なんて観なきゃよかった。重すぎる

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映画『怒り』、話題になってますね。他の映画の前の宣伝で観て気になってたのでレイトショーで見に行ってきました。妻夫木聡主演でめちゃくちゃ面白かった『悪人(2010年)』と同じチームで製作したとのことで、否応なしに期待が高まります。

で、観た率直な感想。重すぎる・・・!ちょっと昼間飲んだりしててかなり疲れた状態で『怒り』観たんですが、あまりの重さに鑑賞後は疲れ果て、知恵熱バシバシ出てました。もうヘトヘト。その重さを例えるならば、すき家に総重量1.2kgの「キング牛丼」なる裏メニューがあるのですが、それ食った時くらい重い。食ったことないけど。

なので、心身共に健康な状態で行くべきであり、表題は観なきゃよかった、と書いてますが、クライムサスペンスものの邦画の中で「すごいものを観てしまった感」がトップクラスに高いのです。

↑ほんとは映画のポスター貼りたいけど、どこまでが著作権的にOKか分からず自分で書いた。

あらすじ

ある夏の暑い日に八王子で夫婦殺人事件が起こった。
窓は閉め切られ、蒸し風呂状態の現場には、『怒』の血文字が残されていた。
犯人は顔を整形し、全国に逃亡を続ける。その行方はいまだ知れず。
事件から一年後。千葉と東京と沖縄に、素性の知れない3人の男が現れた。
千葉 ―――――――
3か月前に突然家出をした愛子(宮﨑あおい)が東京で見つかった。
彼女は歌舞伎町の風俗店で働いていた。
愛子を連れて帰った父・洋平(渡辺謙)は、千葉の漁港で働く。
8年前に妻を亡くしてから、男手一つで娘を育ててきた。
愛子は、2か月前から漁港で働きはじめた田代(松山ケンイチ)に出会った。
東京 ―――――――
大手通信会社に勤める優馬(妻夫木聡)は、
日中は仕事に忙殺され、夜はクラブで出会う男と一夜限りの関係を続けていた。
彼には末期がんを患う余命わずかな母がいた。
ある日、優馬は新宿で直人(綾野剛)に出会った。
沖縄 ―――――――
また男と問題を起こした母と、
夜逃げ同然でこの離島に移り住んできた高校生の泉(広瀬すず)。
ある日、無人島でバックパッカーの田中(森山未來)に遭遇した。

殺人犯を追う警察は新たな手配写真を公開した。その顔は出会った男に似ていた。

映画『怒り』公式サイト  より引用

 

素性の知れない3人の男を松山ケンイチ、綾野剛、森山未來が演じるのですが、それぞれの持ち味を生かした重厚な演技に引き込まれていきます。以下に、鑑賞して感じたポイントを微ネタバレ有で書いていきます。核心には触れませんのでご安心を。

音響が神がかり的

この映画、観るなら絶対映画館で観るべき。理由としては音響が神がかり的にスゴイからです。終始不気味な雰囲気を醸し出す3人の男ですが、その不気味感を出すために音響が効果的に使われています。松山ケンイチが乗る自転車のキィキィ音がもう不気味。森山未來と米軍の戦闘機の爆音のミスマッチ感。繊細な綾野剛と爆音流れるゲイクラブの違和感。よく作ってるなーと感心してましたが、この感動は家のテレビでは味わえないとも思いました。また、音楽を手がけたのが坂本龍一なんですが、これもまたイイ。

役者ありきのミステリー

 この映画のミステリーの肝となるのが、警察が公開するモンタージュ写真。これが松山ケンイチ、綾野剛、森山未來それぞれにかなり似ているのです。普通の3人並べても似てないですが、どの3人も怪しく見えてくる。東京、千葉、沖縄の3場面は終始交わらないのですが、それぞれのシーケンスが交錯しながらストーリーは佳境へ向かいます。犯人は誰なんだ!?と、ずーっと気になってしまう上手い作りになってる。もうこの3人じゃなきゃ作れる映画じゃないと感じましたし、映像作品だからこそのトリックに演出の可能性を感じました。

宮崎あおいの頭弱い感

 なんと、この映画の役作りで宮崎あおいは1ヶ月で7キロも増量しています。なんという女優魂か。そして宮崎あおいは風俗で働いているところを親父に連れ戻される、ちょっと足りない変わった女を演じるのですが、もうその役に見惚れてました。従来の宮崎あおいの清潔感は消え失せていて、純粋でいてうらぶれている感じを徹底して演じています。もう渡辺謙演じる親父に感情移入しちゃって、男はいくつになっても連れない女性を相手にしなければならないんだよなーっと見当違いの感想を持ちました。

妻夫木聡のゲイ感

綾野剛と妻夫木聡がゲイ役を好演してて、それ目当てで行く女性陣も多いと聞きますが、そんな目論見ぶっ飛ばしてストーリーに引き込まれると思います。が、妻夫木がとにかくゲイっぽい。髭にピチシャツに胸元はだけさせたらだれでもそうなってしまうのかな。。妻夫木もただのイケメン役者じゃない。

森山未来の圧倒的存在感

森山未來がちょっとヤバそうなバックパッカーを演じていますが、イマドキの言葉遣いにも関わらず狂気をはらんでいる感じがかなり不気味。例えるなら『池袋ウエストゲートパーク』の頃の窪塚洋介みたいな感じ。I can fly的な。ちと古いか。作中貴重なコミュ障じゃないキャラです。でもやっぱり森山未來はすごい。下記の作品にもちょっとヤバそうな役で出てるんですが、この人は各ジャンルのヤバそうな奴を全てこなせるのだと思います。

  

人を信じるということについての感想

この映画の重要なテーマが人を信じるということで、殺人犯かもしれない男を信じられるかどうか、というところの周囲の葛藤が嫌という程描かれます。僕は映画にあるような修羅場に立ったことはないですが、人を安直に信じてしまうことや、信じることができない自分の情けなさなんかに想いを馳せてしまいました。具体的には書きませんが、3人の男達を取り巻く周囲の感情がもう痛い痛い。ストーリーの鍵を握るキーワードで、「お前の味方にならいつだってなるからな」というのがありますが、いつかそんなワードを自分が言う日が来たりもするのかな。しないだろうな。

まとめ

それぞれのカメレオン役者の凄みと映像トリックの可能性、そしてヘトヘトになる程の重厚なストーリーがこの映画の魅力です。1本でも重厚なストーリーを平行して3本観ることになるし、米軍基地やゲイ、未解決事件と、現代社会の問題にも触れててもうアップアップです。情報量多すぎるわ!体調万全な時に映画館で没入するべき作品でした。ちな僕は伏線を改めて洗いたいのでもう一回観たい。