キジ猫世間噺大系

一人暮らしで猫を飼った男の末路

魅惑の慶良間諸島 ダイビング備忘録

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「GW潜りに行きませんか?」と誘われ元来出不精の僕が重い腰を上げたのは、しこたま飲んでた時の誘いだったからに他ならない。ちょうど3年前にタイのタオ島でオープンウォーターライセンスを取得して以来、ダイビングはおろか海にすら入っていない僕にとって、全ての旅程をアレンジしてくれた後輩がいたことは幸いだった。ともすれば海外ドラマにハマっている僕がGWの全てを使ってリアル「24」の断行という愚行を犯すことは想像に難くない。かくして、僕はどこへやったかすっかり忘れたライセンスカードの大捜索を経て、沖縄へ飛び立ったのであった。

 

 いざ慶良間諸島へ

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慶良間諸島は那覇から船で小一時間で行ける人気のダイビングスポットで、今回はポイントを変えて3日で8本という割とハードなスケジュールであった。本記事では、完全なるダイビング初心者が感じたちょっとした気づきを忘れないようにレポすることにする。

どんどん沖縄本島から離れていく。1945年、米軍は慶良間から本島へ向かって上陸をしたため、彼らと同じ景色を見ていると考えると感慨深いものがある。

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ダイバーの面々

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 以前タイで潜ったときも感じたことだが、ダイビングというスポーツは乗馬に並ぶ紳士の趣味である。見たところそれなりに金がかかることから、独身貴族、金があり余ったナイスミドルがボリュームゾーンだと思われる。取り分け高学歴&ホワイトカラーのチャンネー率の高さには目を見張るものがある。様々な出会いを楽しむことができるのもダイビングの魅力の一つだろう。

というか、今回は3年前のタオ島で一緒だった女性が同船しているという事実が判明。存外にダイビングの世間は狭いのかもしれない。 

 

周囲への気遣いって大事なんだな

 そんで、この通り多くの人との出会いがあるダイビング、やっぱり気遣いはどこの世界でも重要だと感じた。狭い船の中で通路を塞がないとか、自分の機材をちゃんと覚えておくとか、マスクの長さを事前に調節しておくとか、一人でやってるわけではないため、周囲をよく見て行動されたい。僕は危うく女性の着替え中に船室に侵入しそうになり、流行りの”メンバー呼ばわり”(TOKIO)という汚名の憂き目に遭った。

また、海中でも僕らを先導してくれるガイドさん達と良好な関係を築くのも大事なことだ。通算100本のダイビング暦を持つ後輩は、ガイドへの手土産を持参していた。別に高価なものでなくてもよいので、お世話になりますという気持ちの表明は大事である。周囲と楽しさを共有する遊びである以上、ちょっとした気遣いが人情の機微に大きく影響してくるというものだ。

 

ダイビング中の備忘録

かくして、ほとんど予習もなしでダイブと相成った。なお、3年も経つとほぼ全ての記憶が抹消されているため完全に己の身体の感覚頼みとなった。今考えるとかなり危険な気がする。以下は次回潜る時のための個人的な備忘録だ。

 

①マスクは若干緩めに、下気味に装着する

潜水中、最も気になるのはマスクのズレと鼻の痛さである。マスクがきつすぎると単純に顔が痛いし、緩めようとしても水中では絶対に不可だ。水圧の関係もあるので、地上でマスクは若干緩めに装着するくらいがちょうどよい。また、マスクの下部と鼻の間にある程度隙間がないとすぐに鼻が痛くなるし、マスク内に水が入る原因にもなる。鼻に余裕のあるマスク装着は非常に大事なことである。

 

②不安への対処

なお、鼻から水を吸い込むだけで初心者はいとも簡単にパニックになる。数十メートルの深度で潜水中にパニックになるのは文字通り命取りだ。Youtubeで、ダイビング中、サメに襲われたと勘違いした男性がパニック状態になり呼吸が乱れ海底に沈んでいく動画を目にした。慣れない海中での些細な綻びが大パニックに繋がることがよくあるらしい。

トラブッた時はひとまず身体の力を抜いて大きく深呼吸が鉄則である。一度落ち着くと対処法は簡単に見つかるのだ。僕自身も2回目のダイブで「この遊びめっちゃ危険じゃね?」と急に不安になり気持ちがザワザワして呼吸が浅くなるのを感じた。一旦落ち着きはしたがそれ以降は「早く終わってくれ!」とひたすら考えていた。冷静に考えたら、海はまじ怖い。船に上がった後ガイドさんに「様子おかしかったよね?」と聞かれたが「窒素酔いの方がひどくてww」と茶化してしまった。笑えない冗談である。(ダイビング中に窒素が身体に溜まると窒素酔いという状態になり、酒に酔うのと近い状態になるらしい)

ちなみに、水中でガイドさんからはOKサインで互いの状態を確認し合うのだが、若干ヤバめのメンタルの時でもOKサインを返してしまうのが自分を含めJapaneseであると感じた。明らかに飲みすぎて目が据わっているのに「大丈夫っす!大丈夫っす!」と連呼する奴と同じである。

 

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※落ち着いて、耳抜きをこまめにしながらゆっくり潜行

 

③やる気あんのか?くらい力を抜く

ダイビング中はガイドさんについて行って色んな生き物や地形を楽しむのだけど、3本目くらいのダイブの時に、上手い人はほとんど動いていないことに気づいた。効率よくフィンを使ってゆっくりゆっくり進んでいくのだ。なるほどフィンをバタつかせてもすぐに息が上がり余計に空気を消費するだけなのだ。だらーんと身体の力を抜いて、ダラダラダラダラ進むのがダイビングに臨む姿勢としては最適解のようである。腕相撲大会じゃないんだから力んでも全く意味がないのだ。柔よく剛を制す。刃牙で習ったじゃねーか。

なお、呼吸に関しても寝てる時くらいのイメージでゆっくり深く行うのがいいみたい。一回の呼吸で肺の中の空気を総換えするのだ。気持ちも落ち着くのでまさに理にかなっている。

 

④中性浮力を維持

身体を動かさなくても浮きも沈みもしない状態のことを中性浮力と言うが、この状態を常に保っている状態が最適である。しかし、この中性浮力、ちょっとしたコツがいるっぽい。自重と機材と重りと釣り合うようにBCに空気を送り浮力コントロールをする。この時、完全に釣り合いが取れていても自分の呼吸によって多少浮き沈みする。肺に空気を送ると浮かぶし、吐くと沈むのだ。この、呼吸での上下推移の幅と感覚を掴めたらラクだ。足を全く動かさなくても生物の観察ができるし、体力的にもただ浮いてるだけなので余裕である。

 

魅惑の水中世界

さて、ある程度余裕が出てきたら後は水中世界を楽しむだけだ!

 

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いたるところにいたニモ。種類によって白線が1本の奴と2本の奴と3本の奴がいた。なお、「1本の奴と2本の奴を交配したら3本の奴になるんですか?」と聞いてみたところ、「そんな訳ないでしょ。それが事実なら今は真っ白な奴しか残ってないでしょ」とのことでした。このイソギンチャクは触ると岩場の中に潜っていくのが面白かった。

 

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モンツキカエルウオ。めっちゃかわいくないですか?ずっと穴に隠れてる。

 

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 この丸い玉はイソギンチャクとのこと。

 

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何ウミウシか不明だけどめっちゃかわいい!

 

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運よくマグロの群れと遭遇!なかなかレアらしい。

 

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めっちゃデカい亀いた!悠々と目の前を横切っていった。亀の反対側へ回り写真を撮ってくれる粋なガイドさん。

 

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ファッ!?なんやこれ!と思って触るとどんどん黒いところが剥けて真っ白の下地が出てくる。どうやらタカラガイの仲間でウミウサギガイというらしい。どうしてこうなった?

 

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迷路のように入り組んだ岩場に差し込む神秘的な太陽光。

 

おわりに

 写真はないが、他にも海蛇とすれ違ったり、ウツボを見つけたり、クソでかいハリセンボン見つけたり、コウイカが悠々横切ったり、名前の分からんその他大多数の魚に囲まれたり、なかなか充実したダイビングだった。欲を言えばマンタが見たかった!けどそれは次の楽しみに・・

ちなみに、あまりに海中世界が綺麗なので人工的に作ったスポットではないかという疑念を僕は晴らせません。(そんなわけない)