仕事の都合で短期間で地方都市を周ることになり、各地に滞在した時のささやかな記録です。
名古屋〜地下鉄の鏡〜
黒川駅まで地下鉄で移動して打合せ。地下鉄内にはどでかいアンガールズの広告(なんの広告だったか忘れた)がたくさんあり、さすが地元芸人と思った。そういえばかつて研修で1ヶ月ほど名古屋に滞在した際に、金山の商業施設に「飛び出せ斎藤くん」というど下ネタを得意とする芸人がライブをやっていたが公衆の面前でかなり際どいことばかり言っていてさすがに閉口した。
して、名古屋地下鉄の車両内には鏡が設置してあるのは何故なのか。痴漢防止と聞いたことがあるが、痴漢してる自分の姿を見てハッと我に返るということか。それはあまりに痴漢をナメすぎていると思う。鏡を見て我に返るくらい自制心がある人間は痴漢しないだろう。
昼は名古屋駅の中にある店で味噌カツ定食を注文。やっぱり名古屋の食い物は美味い。味が濃いものが好きなのかもしれない。
大阪〜セクキャバの誘惑〜
新幹線で新大阪へ移動。大阪へ着いた瞬間並びが右に替わるエスカレーターのウザさよ。本町への乗り換えのため梅田地下街を歩く。10年前と比べてめちゃくちゃ綺麗になっているが、ブリキのラビリンス級の迷宮感は健在。さらに言えば人がめっちゃぶつかってくる。全員が不規則なピンボールの玉のようにランダムな挙動をするため避けるのに必死になる。後、女がみんなケバい。なぜなのか。そのうちケモノ柄を着だすのか。道行く人にバキューンとやったらちゃんと倒れてくれるのか。謎は深まるばかりだ。
本町で打合せ後、炎上案件で緊急の電話会議となりドトール前のテーブルを使いSkypeと電話を接続。打合せ中から尿意を我慢していたのだがさすがに限界。ちょっと漏らす。上司に一言告げドトール裏のトイレへ。打合せにて、不具合による激烈ハードな納期調整を行わなければならないことが確定。すでにpm6:00。今日中に技術部門を集めてMTG必須。楽しみにしていた粉もんナイトは見送りが濃厚。
インバウンド需要とかいう謎の中国人の襲来により、我々にはラブホに囲まれた十三の場末のホテルの喫煙ルームしか残されてなかったため、ひとまず十三に移動。
いるだけで具合が悪くなる喫煙部屋で電話会議を始める。反発する技術部門。手を替え品を替え説得する我々。すでに帰ってしまった技術部門のキーマンのプライベート携帯に電話をかけるなどして、何とか明日の朝一で判断会を開くことが確定。この時点でpm9:30。何とかしょんべん横丁のねぎ焼き発祥の地「やまもと」に滑り込めそうだ。
入店。駆けつけ一杯。京都の一銭洋食をベースに作られたというやまもとのねぎ焼きは評判通りの美味さで一日の苦労が吹き飛んだ。
お堅い上司のため、その後の展開は特になし。キャッチがセクキャバどうすかと声をかけてくるが華麗にスルー。ちなみにセクキャバはオッパブの関西弁である。
翌日朝一でホテルの部屋で電話会議。技術の部長にやかられる我々。そこを何とかと下手に下手に食い下がり何とか納期短縮の余地ができる。「これでクライアントに貯金(貸し)ができるんです!」という我々営業の悲痛な訴えが通じたようだ。
午後の博多での打合せに向け新大阪へ移動。見たことも聞いたこともない謎の新幹線「さくら」に乗り込む。
博多〜職員室椅子の格差〜
午後博多へ到着し、博多駅近の当社の博多営業所へ向かう。一階のテナントが潰れているビルにある営業所は負のオーラに満ちており、ボロい職員室椅子の上に乗せられたボロ切れ(座布団)は我が社の地域格差を如実に表している。東京の我々の椅子はアーロンチェアなのだ。
営業所の担当者と落ち合い車で打合せ先へ。車内で納期調整の大事な電話が入るもラジオの音声を小さくしない担当者の気の利かなさに、だからいい歳してヒラなんだと心の中で悪態をつく。納期は営業の振り込み通り実現できる旨の一報だった。よかった。
打合せ先ではやっつけ仕事で色々説明し、九州から出たことがないと思われる方言を話す先様から無理矢理言質を引き出し打合せ終了。即座にメールで言質をエビとして残し仕事おわり。
このまま実家に帰ることができるため、博多から実家行きの直行バスに乗り込んだ。実家に帰ると妹の功績によりWi-Fiが開通しており親父が4KテレビでYouTubeを観ることにハマっていた。4Kのメリットをまるで活かしていないテレビは凶暴な動物に襲われる外人の映像をひたすら映し続けていたのだった。
広島〜山の神様の祟りじゃけぇのぅ〜
後日、というか今日、日帰りで広島へ。東京から片道4時間、往復8時間、打合せ1時間というクソスケジュールでのぞみに乗り込む。新幹線の中では仕事のしっぱなしで、車両結合部で電話をかけるも騒音がうるさすぎて全然聴こえないという有様。もう誰に聴かれてもええわと思いまだ騒音が少ない座席で電話。
広島営業所に到着し、車で打合せ先へ移動。広島営業所の担当者によると、広島のインバウンド需要の傾向にはかなり特色があり、日本一欧米人の観光客の割合が多いのだと。なんでも欧米には一生に一度はヒロシマへ的な意識があるらしく、そう言えば「これにはオバマもニガ笑い」でお馴染みのオバマ氏も広島に来てたなと思い至った。
それならナガサキはどうなるんだという話だけど、ナガサキは特段欧米人の観光客は多くないという。なんじゃそら。
また、広島高速道路公社が建設中の、広島駅から即乗れる高速道路が地域住民の反対にあってトンネル建設が頓挫しているという。なんでも、神聖な山にトンネルを掘るなど祟りが起こるぞ!というトリックでしか見たことないシチュエーションが現実に起こっているという。広島高速はその地域住民の反対を押し切って既成事実を作るべく、ある程度山までの高速道路を作ってしまっているということだった。広島高速が怪しげな念仏を唱えるバァさん連中に囲まれる日もそう遠くなかろう。
1時間の打合せ後、サクッともみじ饅頭略してモミマンを購入し、再び新幹線へ。モミマンの店員さん達も打合せ相手も皆んな聞きなれない方言を話していた。ほうじゃのう、ほうじゃのう、と言った感じだ。女性店員の広島弁はかわいかった。
なにやら知らんが1日のうちにこうも移動するとやたらと疲れる。思うに人間の身体は古来からこんなに短時間に高速移動するようには出来ていないため、どこかに無理が生じているのではないかと思われる。
新横浜に着いたあたりからホッとしている自分に、東京人になっちまったと軽く失望を抱きながら帰路につくこの日はボジョレーヌーボーの解禁日であった。
おわり