キジ猫世間噺大系

一人暮らしで猫を飼った男の末路

ボヘミアン・ラプソディを観る前と観た後のフレディに対する印象の変化

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今やネタキャラとして定着してしまった感のあるフレディ・マーキュリーの映画を観に行こうと思ったのは、朝の情報番組の特集で「ラスト1時間は号泣でした」とリーマン風の男が発したパワーワードに惹かれてしまったからに他ならない。

2時間の映画でラスト1時間はラストじゃねーだろとツッこんだが彼の映画に対する盛りに盛った熱量は十分に伝わりすぐに数日後の映画館のチケットを手配した。

フレディに関する印象

チケットは手配したものの、Queenというバンドのことはほとんど知らなかった。フレディというワードで思い出すのはクロマティ高校でしかなく、全く喋らない裸サスペンダーのハードゲイ、というのが30代前半の19(ジューク)世代の僕の認識だった。

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 予習も兼ねてQueenの曲を一通りyoutubeで聴いてみたところ、聴いたことのある曲ばかりで驚いた。なるほどこのバンドのことなんだと思ったが、少々たるんだ裸で特徴的な動きをする胸毛口髭の男は紛うことなきハードゲイだと思った。

インパクトがハンパないそのビジュアルにまずは圧倒されたが、曲はめちゃくちゃカッコいいと思った。特に「Don't Stop Me Now」の間奏のヘイヘイヘーイ!からのオオー↑↑は狂おしいほど好きになりヘビロテ不可避だった。

フレディ小っさくない!?

ある程度事前の知識を得た上で改めてトレーラーを見たところ、フレディ役の人の小ささに驚愕した。下の画像を見てほしい。左にいる岡村隆史風の男がフレディで、右のモジャ夫がギターのブライアン・メイである。子供かな?と思った。ブライアンに説教されているようにしか見えないこのシーンは往年の名曲We will rock youができるシーンだったと後から分かった。

こんなプチ・ブルース(ブルース・ウィリスのそっくりさん)みたいな配役で一抹の不安を覚えたが、各レビューを見るとフレディの生き写しだ!という評価ばかりで遠近法だと無理やり納得させて映画館へ向かった。

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平日にも関わらず映画館は満員だった。結論から言うと映画は最高だった。ラスト1時間のタイミングでは特に号泣のタイミングはなかったが、後半にかけて盛り上がる構成は素晴らしいと思った。以下、印象に残ったシーンを挙げます。(ネタバレ注意)

フレディ以外のメンバーもいいよね

欧米のロックバンドだから基本みんなDQNでヒャッハー的なバンドメンバーだと想像していたがみんな高学歴のインテリで驚いた。そしてみんなでワイワイ作曲するシーンが楽しそうなこと!ドラムにコインを乗せて叩いてみたり、高音の限界に挑戦したり(ガリレオって何!?)生き生きした作曲過程がとてもよかった。

 

各キャラも立ってた。フレディはさることながら、バンドの良心であるところのブライアン・メイのクレバーさや、ロジャー・テイラーのかわいい顔からの男気は実に魅力的だった。ジョン・ディーコンは影が薄く、フレディがロジャーに喧嘩売る時も「ディーキーみたいにつまらねーな」と引き合いに出されてかわいそうだった。

というのも、ブライアントロジャーはこの映画の製作に携わっており、一説によると2人が注文をしまくったから映画の製作が遅れに遅れたとかいう話で笑った。

 

ボヘミアン・ラプソディを製作し、スポンサーに披露したところ6分は長すぎて流石に却下と言われブチ切れたメンバーは帰りしなに石を投げ窓ガラスを割ってからの一言が最高にロックすぎた。

「修理代は印税から引きな」

家族を顧みないことを責められ、「分かってるけどそれが出来ないのがロケンロール」などとうそぶく某樹木希林の旦那とは違うなと思った。

 

フレディが学生時代にQueenの前身バンドであるところのSmileに加入するシーンで、「その歯を治してから来な」とドラムのロジャー・テイラーから言われるのだが突如ドヤ顔でアカペラを披露したフレディはこう返す。「過剰歯で口の中が広い分声域が広いんだ」過剰歯という聞きなれないワードに、ん?てなって、出っ歯のことだと思って映画館を出てスマホで調べたら閲覧注意過ぎて調べたことを後悔した。

フレディの魅力とは

当初のフレディはロン毛だが、完全にフレディ化した後のフレディは長友と本田を足して2で割った男にしか見えなかった。それが段々かっこよく見えてくる不思議。フレディはとても複雑な人間と評されるが、それを一定数再現できているように感じた。インド系、ゾロアスター教、過剰歯、ハードゲイ、エイズという複合的な要素により醸し出されるフレディのヤバさが出ていた。が、それでもオリジナルフレディには及ばないと感じた。オリジナルフレディのヤバみと言ったら!

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Live Aid感想

ややこしすぎるコンプレックスを抱えたフレディの本名はファルーク・バルサラ。公式にフレディと名前を変え、悪ゲイであるマネージャーのポールに翻弄されながら迎える21分間のLive Aid。行き場のなかったフレディが紆余曲折を経て集大成として披露するLive Aidのパフォーマンスが圧巻過ぎた。実際のLive Aidの完コピなのでオリジナルをyoutubeで見れるのが非常によい。やっぱりコンプレックスを抱えた人間が「これが俺だ」と振り切っていく姿が涙を誘うのだと思った。カッコいいわフレディ、ネタキャラとか言ってすまんと思った。

あと、英語が聞き取れないためLive Aidの字幕で初めて知ったのだが、Queenの歌は歌詞が強烈だと感じた。ボヘミアン・ラプソディでは「ママ、人を殺してしまった」から始まる。こんなこと歌ってやがったのかと驚愕した。

さらに、ハマー・トゥ・フォールなんかは「誰にもハンマーが打ち下ろされる」などと過激な内容で、一曲ずつ歌詞を読んでみようと思った。そうしている内にジョジョにオマージュがたくさんあるということに思い至り、ジョジョを一から読むという沼にはまりつつあるのだった。

2回も観に行った

同じ映画を複数回観に行く人のことが理解できなかったのだが、何を隠そう僕も2回観に行っている。それも音のいい映画館を選んではるばる立川くんだりまで足を運んだ。音楽を楽しむ映画ということで、複数回行っても楽しめるのだ。ライブに1800円で行けると思ったらめっちゃ安い。ただ応援上映は非リアなので遠慮しておこう。ノれる気がしないので。

最後に

ボヘミアン・ラプソディをきっかけに、デビッド・ボウイに派生し、当時の洋楽を聴きあさるという広大な沼に足を取られ、ジョジョも読まなきゃならないし、ふるさと納税もしてないし、年賀状も書いてないしどうしましょ??嗚呼、罪深きラプソディよ・・