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一人暮らしで猫を飼った男の末路

男だけど劇団四季「アラジン」観てきた感想。ジャスミンがエロい!おっさんジーニーがスゴい!

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初めて劇団四季ウィキッドを観た閉幕後、興奮冷めやらぬ口調で「口パクでもすごかったね!」と感想を漏らし周囲をドン引きさせたのが10年前。初めて目の当たりにする劇団員のあまりの歌唱力に口パク以外あり得ないと本気で思った。

そんな僕も四季をいくつか嗜むようになり、先日、劇団四季初のコメディ作品「アラジン」を観てきた。なんかJR乗ってたら予約受付開始の車内広告に釣られるまま気づけば半年先のS1席を予約していた。四季のチケットは早く取らないとすぐに埋まってしまうのだ。11,800円/1枚の痛い出費だけども半年も経てばそれくらい余裕なくらい稼いでいると思ったが稼げてなかった。

で、観てみたら有無を言わさぬエンタメに感動しきりでした。以下、若干ネタバレ交えます。

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※汐留の電通四季劇場「海」で上演されている。

※なお、当然ながら劇場内での撮影禁止。以下画像は全てHPから引用です。

アラジン予備知識

言うまでもないことだけど予備知識までに。

アラジンは1992年ディズニー製作のアニメで2014年に劇団四季で舞台化されました。千夜一夜物語の「アラジンと魔法のランプ」を題材としており、物語の舞台はアグラバー。イスラム教が興る前の時代だから女性が肌を露出してる。情熱の町。アラビアン・ナイト!

いざ観劇

13:00開演とのことで、入場すると劇場は案外狭く、僕らS1席は前から6列目、舞台から向かって左側の席だった。これがめちゃくちゃ近い。役者の汗くらい飛んできそう。それクラス。なお前3列までは四季の会会員しか座れない聖域。もちろん全席女性で埋まっている。時間になると完全に山寺宏一と同じ声が響いた。ジーニーだ。「周りを気にせず大笑いしよう!」だって。ミュージカル特有だね。ジーニーのイントロダクションと重低音の名曲「アラビアン・ナイト」で景気良く開幕しました。

ジーニーおっさんやないか!

いや、知ってたんですよ。人外のジーニーはおっさんが演じるしかないことは。でもね、このジーニーがほんとにスゴい。ほとんど主役。というか主役。オリジナルの山ちゃんの声とそっくりなジーニーがあのアニメキャラのテンションで歌えや踊れや。魔法のエフェクトも沢山あり、観ててとても楽しい。ジーニーは神の視点なので、僕ら観客へ向けて「もっと拍手を!」なんて言ってきたりもする。「1億2,000万のジーニーファンの皆さま」とかよく言ったもんだ。

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 で、注目してたのが登場シーン。アラジンがランプをこすると煙のように出てくるランプの精。どう表現するか見ものだったのでワクワクしながら見てたら、床からクルクル回りながらの登場でウケた。さすがにそうするしかないよね。そんで今回のジーニー役は道口瑞之さんだった。劇団四季は毎回キャストを劇団員以外も含むオーディションで選んでいて、ジーニー役は応募50人中2人しか合格していない。小柄な道口ジーニーは「出身は茨城だっぺ」というアドリブみたいなこと言ってドッカンドッカンウケてたけど、劇団四季はブロードウェイとは異なりアドリブ禁止。全ては洗練されたネタなのだ。

アブーの代わりにカシーム/オマール/バブカック

忘れちゃいけないのがもう一体の人外アブーだ。どうやってあの小さなサルを表現するか注目してたけど、アブーは出ないのね。その代わりカシーム、オマール、バブカックという3人のコメディキャラがアラジンの友人として脇を固める。三者三様のキャラで、アブーなしでも十分成り立つ。正直ストーリー上は全然役に立たないキャラだけど、重要なアクセントだった。

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忘れちゃいけないアラジンも主人公感がハンパない。初見は優男だなと思ったけど、カシーム達と並ぶと分かる圧倒的な主人公感。島村幸大さんという役者だった。バキバキの腹筋に光る汗に男でも惚れた。身体鍛えようと思った。

ジャファーとイアーゴの悪人笑い

そして悪役のキャラ二人も相当いい味出してる。ジャファーはアニメの完コピで、昔ディズニーシーで見た着ぐるみジャファーよりモノホン感が強かった。アニメではオウムのイアーゴは今回は人間ですね。スピードワゴン井戸田に激似だと思ったけど酒井良太さんという役者らしい。ヤバい上司を持ってしまった哀れな部下としてこれまたコメディキャラを見事に演じていました。「お前はオウムか!」というツッコミが鮮やか。実はジャファーよりも過激派ですぐに「殺しちまいやしょうよ」と言ってしまうのだった。二人の悪人笑いも板についててウケます。

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ジャスミンがエロいというか女性キャストがエロい

いや、これね、あるあるだと思うんだけど、男は舞台で女キャラを目で追ってて、女は男キャラを追ってるんですよ。昔宝塚歌劇団のパンフレットを男女数人で見た時にヒアリングしたけど、男は女役にまず目が行くし、女は男役に目が行くんですよ。全員女なのに。で、何が言いたいかというと、アラジンの女性キャストは露出が高くてよき。劇だから目のやり場に困ることもなくてよき。

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ジャスミン役は岡本瑞恵さんだった。アニメのジャスミンは中東スレンダー系なので、初見はジャスミン感ないな、安藤美妃だわとか思ってたけど、見てるともうこれは完全なジャスミンでした。序盤「この子左巻きなんです」とアラジンに言われたあたりからもう完全にジャスってました。ジャスりきってました。圧倒的な歌唱力と存在感。他のキャラが代役でジャスミンやっても絶対この存在感は出せないと思った。前田敦子がセンターに納まるのと一緒だと思った。絶対的センターだと思った。

劇ならではの演出

演出も見逃せない。例えばアラジンとジャスミンが出会うシーン。10人以上もみくちゃに踊っていながら二人目が合った瞬間あっ!てなってスローモーになる。二人の感情を第三者目線で追うという不思議。

外せないのがアニメの名シーン「ホールニューワールド」が流れ、空飛ぶじゅうたんで旅に出るところだ。歌詞は四季オリジナルで「おおーぞーらー」が「じゆーうーをー」に変わってた。「僕を信じて」とジャスミンの手を取り二人満点の星空を飛び回るんだけど、星空がめっちゃくちゃ輝いてて感動した。というか泣いた。実はあの名シーンをどんな演出してくれるんじゃいとお手並み拝見ポーズで観てたんだけど、完全に予想を上回ってきましたね。夜空に輝く大きな月も、いつしか地球に変わりますから。宇宙大の演出ですよこれは。

空飛ぶじゅうたんもワイヤーも何も見えないのに飛んでますからね。全っ然仕組みが分からん!すげーぜ・・・でもじゅうたんの下をたなびく雲海は黒子のスタッフ二人が一生懸命花見の場所取りでブルーシート敷くような動きで頑張っててフフってなりました。

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※カラフルな衣装にド派手なダンスが圧巻・・・!

全く噛まない役者たち

劇団四季を観て毎回思うのが、まじで口パクじゃないんですか?ということ。ジーニーなんてあれだけの長台詞をよくすらすら言えたもんだ。引き合いに出すのもどうかと思うが、例えば吉本新喜劇なんかはよく噛む。噛んだ時のリカバリまで周到に用意されてて、小道具に電話があったら「もしもし、代役1名お願いしますわ」ってなもんである。それでウケるという。なんかあっても「今日はこれぐらいにしといたるわ」とか言っとけばいいから楽だ。

対して劇団四季はプロプロアンドプロ。子供ですら噛まない。ライオンキングのシンバの子役なんかは小学生だと思うけど、ロボットですか?と思うくらい完璧。すさまじい練習量だと思う。ちゃんと学校行ってんのかな。

これぞエンターテイメントの醍醐味

 ストーリー自体は飽きることなくテンポ良く進んでいって、あっという間に終わった感。恒例のカーテンコールを何回も繰り返して、名残惜しくも退場。観客みんながニコニコしながら退場していくのが印象的だった。やっぱりエンタメはこうでないとね。

ちなみに、アラジンはアラジンで最高だったんだけど、あえて順位をつけるならウィキッド>ライオンキング>アラジン。アラジンはストーリーが完全に頭に入ってるところがちと残念。ライオンキングは動物のセットと目からきしめんが忘れられない。ジャングル大帝のパクり説あるけど。やはり不動の1位はウィキッド。これだけは譲れねぇ。