キジ猫世間噺大系

一人暮らしで猫を飼った男の末路

忘年会でストッキング綱引きゲームをさせられた

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忘年会シーズンです。

新入社員の実力が密かに評価される重要イベントも中堅となったら楽ですね。何の芸もしなくていいし、ただ酒だけ飲んでお客様気分ですわ。

 

忘年会で若手は大変

その点若手は大変な労力を強いられる。まず余興。今の部署では若手の余興に相当に力を入れており、夏の暑気払いで飲み会やったときなんて、完璧な乳首ドリルと完璧なブルゾンちえみ(もちろんwithB付き)を目の当たりにした。サンシャイン池崎にいたっては4人もいた。

 

なんでも1ヶ月くらい前から準備をして、カラオケに入って歌も歌わずにひたすら練習してたというから恐れ入った。惜しむらくは、たかだか30人くらいの部署内での披露であること。実際相当なクオリティなので、少人数で消費されそのままお蔵入りになることがもったいなくて仕方ない。

 

で、余興の何が大変かというと、前回のクオリティを常に超えていかなければならないという戸愚呂弟、仙水、黄泉もびっくりの戦闘力のインフレが起こることだろう。芸人の完コピからプロジェクターを使ったムービー上映まで、毎回実に手の込んだ演出が提供される。

 

唯一スベりまくってたジョイマンの完コピをやった彼だけは期待値が相当に下がっているため次回は楽だろう。言わせてもらうと、顔が似ているからという理由だけでジョイマンを選んだのが悪い。素人のスベリ芸の真似はご法度なのだ。

 

うちの若手は本当に頑張ってるわ。とそれは置いといて。

 

アンドレからの謎のメール

社会人2年目の冬、新入社員にとんでもないモンスターがいたことを思い出した。彼の名前はアンドレとする。見た目がファイナルファイトに出てくるアンドレにクリソツであったからだ。要するに、デカくて不気味なのだ。

 

また、アンドレは在籍していた社員寮でも常に寮母さんとバトっている寮内屈指のトラブルメーカーであった。一度アンドレの寮の部屋に入ったことがあるが、寮の食器を無断でパクり灰皿として使っていた。そんなアンドレは、職場でも僕の直下の後輩であった。

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※三体のアンドレに急襲されるコーディー

 

そして、その年の年末も近づき忘年会の日程が決まった頃、アンドレから社内メールが発せられた。

 

「このメールを受け取った人には、忘年会の余興を手伝っていただきたいと思います。何をやるかは当日までの秘密ですが、どうしても気になるという人は個別にご連絡ください。お教えします。」

 

およそ新入社員の文面とは思えないこのメールはBccで送られてきており、メールを受け取ったのは僕の他にも結構いたようだったがみんな若干イラッとしただけで、余興の内容をアンドレに聞きに行く者はいなかった。

 

地獄のような忘年会

アンドレの謎メールに若干の引っかかりを覚えながらも、忘年会当日となった。忘年会はクリスマス直前に行われるためサンタ帽やつけ髭が用意されており、貸し切った飲み屋の一角は実に能天気な空気に包まれていた。

 

飲み会時間も半分を過ぎる頃、サンタ帽を被ったアンドレがおもむろに立ち上がり声を張り上げる。

 

「では余興をはじめます!今から呼ぶ方は前に出てきてください!」

 

アンドレが部員の名前を読み上げ、30名程のメンバーの中から10名が選抜される。その後、アンドレが発した言葉に耳を疑った。

 

「ではこれから選ばれし精鋭10名でストッキング綱引きを始めます!」

 

ストッキング綱引きをご存知だろうか。2本のストッキングを結び合わせ、2人がストッキングを頭に被り引っ張り合い脱げた方が負け、という森山中あたりが千回くらいやってるだろうゲームだ。もちろんストッキングを被った顔が崩れることが笑いのポイントだ。

しかしここは職場の忘年会。新入社員によりストッキングを被ることを強いられる10名の顔は一様に曇っていた。驚くべきは、ここでアンドレはゲームに参加しないということだ。アンドレはあくまでも行司に終始するらしい。

ピエロになる精鋭10名、誰しもがそんな無様な辱めを受けるゲームはやりたくなかったが、機嫌を悪くするのも大人気ないため黙ってアンドレに従うしかないのだ。

 

なお、アンドレに選ばれし精鋭10名は、若手を中心としたメンバーではあったが明らかにアンドレカーストフィルターがかかっており、若手でも強面でイジりにくい人は外され、年配者でも三枚目キャラの人はノミネートされていた。僕はその恣意的な人選にひどく憤りを覚えた。

 

ストッキング綱引き

よーい、スタート!の合図でトーナメント形式でストッキングを引っ張る我々。誰も勝つ気がなく、一瞬で勝負がついていく。全員が薄ら寒い笑みを貼り付け、ゲームは進行していった。アンドレの癪に障る声が会場に響く。「〇〇さん、いい顔ですよー!!」

 

唯一30台半ばのあばれる君似の先輩だけが異常なやる気を出して「よーし、脱がしちゃうぞー!」と秋元やすなんとかが言ってそうなハリキリでもっておニャン子達はあっという間に脱がされ、ルンバのパチモンみたいな優勝商品をゲットしていった。

対して、早々に負けた我々は参加賞の鼻めがね。どこまでもコケにされっ放しの余興であった。

 

おわりに

そんなアンドレは早々に会社を辞め、職を転々とし今や何社目か分からないくらいの所謂ジョブホッパーとなった。今どこで何をしているのか知らないが、もしこの記事を新入社員の人が読むことがあったら、余興で汚すのは自分だけにしましょう、ということだけを声を大にして伝えたい。