キジ猫世間噺大系

一人暮らしで猫を飼った男の末路

大洗「那珂川楼」の『焼き』を極めた絶品うな重にうな充してきた

この記事をシェアする

先日田舎の両親が遊びに来ており、静岡に旅行するというので朝早く神奈川の姉宅の最寄駅で10年落ちのデミオにピックアップしてもらい富士山まだ見えねーなとか思って車窓を眺めてたら東京タワーが見えてきました。クロちゃんみたいなシチュエーションにテンパって「えっえっ、どこ行くしん」つってたら曰く静岡は南海トラフ地震が怖いからやめたとのこと。それでどんなロジカルシンキングの結果かわかんないけど目的地が茨城県は大洗になってました。

そうしたら親父がうなぎ食いたいとか言い出して。いや浜松の口になっとるがなと思いつつも大洗水族館の近くにうなぎの名店があるっつーので行ってみたところ完璧なうな重に出会ってうな充してしまいました。

那珂川楼

f:id:kiichangazie:20180627084402j:image

街の喧騒を離れて郊外にひっそりと佇む老舗に期待が高まる。適当にデミオを停めて先へと急ぎます。


f:id:kiichangazie:20180627084334j:image

僕の夏休みに出てきそうな店舗になんかホッとするね。

 

f:id:kiichangazie:20180627084408j:image

景気良くいらっしゃい!の声が響く。昼前に予約なしで入ったらお客さんが一組いた。厨房でうなぎを焼く大将と、おかみさんの二人で回しているようだ。おかみさんの趣味だろうか、個性的な置物がたくさん。


f:id:kiichangazie:20180627084433j:image

箸が置かれている座敷は予約席だ。

年季の入ったメニュー

f:id:kiichangazie:20180627084517j:image

こだわりを感じる手作りのメニュー。うなぎの量で値段が違うとのこと。

 

f:id:kiichangazie:20180627084417j:image

白焼きも捨て難いけど、ここはやはり定番のうな重で。昭和みたいに親父が上うな重定食を注文し他のみんなは並を注文。焼とりも絶品らしいということは後から知って惜しいことをした。

注文を受けてから捌くスタイルで、焼き上がりまで1時間程かかるとのこと。予約してたら時間に合わせて焼いてくれるみたいで。そう言えば福岡の人気のうなぎ屋は注文後5分でうなぎが出てきて案の定レンチンみたいな味がすると両親が言ってた。この1時間は必要な1時間なのである。待ち時間を潰すためか、至るところに雑誌が置いてあり、去年の週刊誌を手に取ったら斉藤由貴への文春砲が炸裂した瞬間でした。

個性的な店内を見てると楽しい

f:id:kiichangazie:20180627084438j:image

店の敷地に池があり、BGMのない店内で時たま聴こえるウシガエルの鳴き声が耳に心地よい。店内の動物の写真はどれもおかみさんのいとこが撮った写真とのこと。


f:id:kiichangazie:20180627084413j:image

鳥山明のガスマスクみたいな古い電話。これをデザインした人は何を意識したのだろうか。

 

f:id:kiichangazie:20180627084345j:image

気さくなおかみさんは雑談が好きみたいで色々と教えてくれる。やけにフクロウが多いと思ったらやっぱりおかみさんがフクロウが好きとのこと。「不苦労」とは縁起がいいね。隣りにある石は震災の時に流れてきたもの。リメンバー的な意味を込めて常連さんが置いていったもの。


f:id:kiichangazie:20180627084444j:image

おかみさんはオニも好き。

100年継ぎ足されたタレのうな重が到着

f:id:kiichangazie:20180627084340j:image

そうこうしてると40分足らずで親父の上うな重4,600円が運ばれてきた。1時間かかると言って40分で出すとは粋な計らい。ご飯が見えないボリュームで匂いがとても香ばしい。脇を固める肝吸いの肝も炭で炙ってあるようだ。


f:id:kiichangazie:20180627084448j:image

こちらは並3,600円。上に比べると確かに一回り小さい。それでも身はふっくらとしていてかなりの厚み。

うなぎのアロマテラピーや~

f:id:kiichangazie:20180627084426j:image

秘伝のタレは100年前から継ぎ足しとのことで控え目な甘さだけど濃厚。安いうなぎにありがちないやらしい甘さがなく口の中で上品に身がとろける。脂もしっかり乗っててなんと言っても焼き加減が絶妙。絶え間ない修練による技術を以って焼かれたであろうことが分かる。食欲をそそる炭の香り。粉山椒をかけるとまた風味が変わる。うなぎのアロマテラピーや~!と思った。ご飯の焼き加減もちょうど良く、今まで食べたうな重の中で一番なんじゃないかと思った。「串打ち3年、裂き8年、焼き一生」という格言を思い出した。大将は生涯をかけてこの「焼き」を極めたのだと思った。毎日の地道な積み重ねがこの奇跡の味を生み出しているのだと思った。大将の背後に観音様が見えた気がした。

個人的には、先日4時間待たされて食った下記の小田原の有名店「うなぎ亭 友栄」を上回っていると思った。

 旬のものっていいよね

f:id:kiichangazie:20180627084421j:image

うな重を食べ終わるころに旬のメロンが出された。旬のものは何でも美味しいね。食べログを見てるとスイカが出ることもあるようだ。うなぎとスイカは食べ合わせが悪いと聞いたことがあるが関係ないみたい。


f:id:kiichangazie:20180627084355j:image

外にあるカリンの木から落ちた実。これを常連さんがジャムにしてくれるらしい。常連さんに愛されてる店だと思った。願わくは僕も常連になりたい。

夏へ向けて・・・

f:id:kiichangazie:20180627084510j:image

おかみさんに見送られ店を出ると、梅雨の晴れ間に外の風が気持ちよかった。店の庭に生い茂る緑と小屋の向こうに見える池は力強い生命力を感じさせた。そう感じるのはうなぎを食べたからだろうか。

 

f:id:kiichangazie:20180627084454j:image

緑に映えるアジサイは鮮やかで夏の到来を予感させる。観測至上最速の梅雨明けを記録する間際の小旅行。「那珂川楼」は最高にあたりでした。絶対また来ようと思いました。

余談ですがこの後大洗水族館アクアワールドの駐車場で、車のボンネットに猫が入った一家がいて大変でしたがそれはまた別の話。

店舗情報

茨城県東茨城郡大洗町磯浜町7986-11

TEL:029-266-2311

定休日:不定休

営業時間:11:00~14:00、17:00~20:00

予約:可(時間指定すれば待ち時間0で食べられます)