何となく日本史のことを調べ始めたら止められなくなってきて、案の定戦国沼どっぷりハマった今日この頃です。話題になった戦国ものの映像作品をざっと観ましたので以下感想です。
麒麟がくる
先日最終回を迎えた大河ドラマで、歴史上人気のない明智光秀を主人公に据えた意欲作。もうね、光秀がカッコよすぎますよね。悪い意味で。
長谷川博己演じる光秀がまぁ主人公なので仕方無いと思うんですが、髪の毛ありすぎなんですよね。光秀と言えば「キンカン頭」という信長からつけられたあだ名が残っているくらいハゲまくっていたのが通説なのに、最後の最後までドフサとはこれ如何に。ドラマでは少年時代から始まるので最初髪があるのはいいんですよ。でも最後まであるとは思わないじゃないですか。いつハゲるか、いつハゲるか、と期待しながら見てましたけど、最後の本能寺までハゲないって嘘でしょ。美化されすぎ。で、光秀は本能寺時点ではもう結構なジジイのはずなのに、めっちゃ見た目若くて。そのへんリアルにしてほしかったなー。で、光秀がとにかく平和主義者なんですよ。いや違うから、光秀は謀略に長けていて比叡山攻めを嬉々として実行する悪の権化ですから。そんなんじゃないから。
あと、信長が染谷将太なんですが、顔がまじで赤ちゃんすぎるんですよね。いやバブつきザムライかよって。顔がバブつきすぎなんですよね。で、性格もバブついてて、「公方様が褒めてくださったんじゃ」「天子様が褒めてくれた」とか言って褒めてもらいすぎなんですよ。なんか平蜘蛛の茶釜が焼失しただけでめっちゃ号泣して夜泣きするし。第六天魔王なら魔王らしくどっしり構えてほしかったんですけど、やたら丸っこくて信長感ゼロ。こちらも本能寺時点で49歳のはずなのに全然老けてないという荒木飛呂彦先生もびっくりのバブつきザムライでした。
ストーリーとしては、史実に正確なリアルさを求めるワタシ的にはかなり微妙でした。なんか謎の薬屋の架空のキャラがめっちゃ歴史に干渉してきてて、足利将軍に物申したりするのがちょっと…さらに言えば上述の通りキャラの見た目がかなりイケてなくて、帰蝶とか沢尻からの川口春奈って絶世の美女揃えてきてさ。あの頃は政略結婚だから本人の意思関係なく結婚させられるんだけど、あんだけ美人だったら願ったりですよね。化粧とかも現代風だとちゃんちゃらおかしいって。いやお歯黒と麻呂みたいな眉は外したらアカンでしょって。50点。
清須会議
織田家の跡継ぎを決めるために清須城に集まった家臣たちの動向をコミカルに描いたマイナー題材作品。これ、背景を知らないとあんま楽しめないと思うんですが、知ってるとこれがなかなか。まず、上述の「麒麟がくる」では実現できていないキャラの見た目問題がかなり解消されてるんですよね。大泉洋演じる秀吉のつけ耳とか、織田家のつけ鷲鼻とか、ちょっとオーバーに特殊メイクされてるけど、結構リアルだと思うんですよね。信長だって、細面で神経質そうで、染谷信長には出せないリアリティがありましたよ。お市の方とかも結構歳行ってて麻呂眉とお歯黒もちゃんとできてたし、こんなんだったはず!と納得できました。極めつけは光秀。完璧なキンカン頭ジジイが超味があって良かった。
秀吉が三法師を担いで勝利するという流れもかなりコミカルに描かれてますが、破綻がなくて本当にそうだったんじゃないかとまで思わせる三谷幸喜脚本はさすがと思いました。脳筋柴田勝家の無能設定も◎。85点。
光秀のスマホ
NHKが大河ドラマに合わせて制作した、もしも光秀がスマホ中毒だったら、という設定の短編コメディ。主君信長の横暴を愚痴り、秀吉とフォロワー数を張り合う光秀のツイートが笑える。小ネタもたくさんあって、備中高松城の城攻めの様子とか、松永久秀の裏切りとか、歴史を知ってるとフフッとなるネタ多し。意外とストーリーもしっかりあって、オチがちゃんとついたりしてて、完成度高いと思いました。やっぱこういうのは真面目で不器用なキャラでやるのが面白いと思うので、続編のキャストは義経とかを希望。95点。
超高速!参勤交代
いわきにある小藩が江戸期に参勤交代後、5日後に再度参勤交代を命じられてあたふたする話。はじめは何とは無しに見始めたら結構引き込まれていったんですが、途中のバトルシーンで忍者がありえない動きしたので少し不安になり、終盤の大立ち回りで完全なるワイヤーアクションが乱発されてめっちゃ冷めました。コメディなのか史実なのかよくわかんない中途半端な設定だし、ヒロインの深田恭子もリアリティないし、ちょっとな。評判がよかったのか続編の「リターンズ」もありますが、パスで。40点。
本能寺ホテル
本能寺の変前日の本能寺に綾瀬はるかがタイムスリップする話。堤真一演じる信長が結構いい感じでしたが、ほんの半日の内にどこの者とも知らぬ綾瀬と心通わせていくという謎仕様。ネタバレになりますが、本能寺にタイムスリップするカラクリとか、いきなり振ってきた婚約者とか、八嶋智人の意味のない役柄とか、明智謀反の理由よりも気になる謎がたくさんあって消化不良感が否めない。森蘭丸が濱田岳という斬新な配役に「イメージと違う」と評する綾瀬にはウケたけど、後に作り上げられた美少年設定は概してフェイクだと思うんですよね。沖田総司だってヒラメ顔だったと言うし。まぁまぁ飽きずに見られたので70点。
関ヶ原
岡田准一演じる石田三成を主人公として、役所広司演じる徳川家康と関ヶ原で対決するまでを描くリアリティを追求したと思われる大作。これも歴史の事前知識が無いと全然意味がわからないという初心者泣かせでとても残念。極めつけは役者が何を言ってるか全然聞き取れないという映画として致命的な欠陥。方言も凄くて、秀吉とか寧々とかの喋り方はかなりリアルだったけど、リアリティを追求しすぎるのもどうかと。あと、こんだけリアルにすると逆に粗探ししたくなってくるのが人情で、役所家康とか結構良かったけど、髷の月代部分がやたら綺麗だったりして、なんだかなーと思いました。ただし、この月代問題を克服した作品はいまだかつてないと思われる。35点。
のぼうの城
埼玉県に実在する石田三成の水攻めに耐えた忍城を舞台とした軍記物。クソみたいな殺陣が目立つ歴史ものが多い中、結構リアリティのある戦闘シーンが良かった。少々オーバーで戦国無双かよってくらいの一騎当千キャラもいたけど、まあ映画表現としては盛り上げる必要があるので許容範囲。野村萬斎のPV感が少々拭えないが、ストーリーとしては楽しめた。75点。
おわりに
感想を振り返ると、見た目のリアリティを追求してほしいということしか書いてないですがそこってかなり重要じゃないですか。イケメンと美女だけ生き残るというのが邦画のクソさだと考えてますが、ここらで見た目がイケてない一般人を使ってリアリティを追求するのはどうでしょう。あ、でもそうしたら全員が演技が杉浦●陽みたいになって見るに耐えなくなるのかな。ま、戦国ものを描くなら僕の中で秀吉はいっこ正解があって、はげねずみとあだ名されて超小柄で猿顔といえば、岡村隆史一択っしょ。それもAGA治療を行ってない世界線の岡村を希望します。