キジ猫世間噺大系

一人暮らしで猫を飼った男の末路

人の役に立たない唯一の仕事それはエロ動画サイトのステルス広告

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後輩に運転させて外出先から首都高をぶっ飛ばしてだべりながら帰っていた時に、何でも選んでいいならどんな仕事がしたいか?という話を振ったところ、念能力なら絶対に強化系であることが明らかな後輩Sは「人の役に立つ仕事がしたい」と言った。

人の役に立つ仕事などという何の面白みもない回答を掘り下げてみたくなり「全ての仕事は必ず誰かの役に立っているドャァ」と返した。コミュニケーションはプロレスなのである。

そうするとSが「確かにそうですね…」とか言うもんだから話が終わってしまい「いんや誰の役にも立たない仕事はあるはずだ」と今度は役に立たない仕事を役に立たない頭を絞って考えてみたところ、シャブの売人とオレオレ詐欺が候補に上がった。

しかし、シャブの売人は確かに誰の役にも立たないように見えるが、シャブ中や一部のシマを潤しているだろう、オレオレ詐欺はまず仕事じゃねーだろう、ということになりあーだこーだ考えたがそのどれもが反社会的なシノギであったため、さらに思索を深めることにより我々はある一つの解に辿り着いた。エロサイトのステルス広告である。

10回に3回くらいしかちゃんと押せない広告バナーの極小の×ボタン、再生ボタンを押そうとするとバッグラウンドを上下する半透明なバナー、それらは時として熟練の殺し屋のように忍び寄り、いきなり40万を請求してきたりするのである。「癖になってるんだ、音殺して歩くの」である。

たまに「俺でなきゃ見逃しちゃうね」とばかりにバナーを回避できたと思いきやすぐに出会えるご近所人妻なんかが現れたりするので全くもってはた迷惑である。これはさすがに誰の役にも立っていない仕事だろう。

しかしこの仕事、相当儲かってるのではなかろうか。ウェブ広告はモノによっては1クリックでそれなりの単価になることはブログを始めて知ったが、ステルスバナーは1日に何回タップされているのか計り知れない。超少なく見積もって1クリック1円だとして生産年齢人口の男1000万人が1日1回タップしたとしても1000万円である。1年で36億5000万である。計り知れない。どの時代も儲かっている奴はいるものである。

果たしてSもこの結論には納得していたが、気まぐれにタクシー運転手なら人の役に立つんちゃう?と言ってみたら「タクシー運転手なりたいんですよ!」とのこと。などと喋りながら帰っていたら同時に2つのことができないSは盛大に分岐をミスりあらぬ方向へ疾走する我々であった。Sよ、タクシー運転手だけはやめておけ。