キジ猫世間噺大系

一人暮らしで猫を飼った男の末路

あの日竹富島で出会った鬼ギャルの名前を僕達はまだ知らない。

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〽旅を続けていればこそ いつかも一度会えるはず
 白いサンゴの一本道は 星の砂へと続く道
 サー ツンダラカヌシャマ マータハーリヌ 竹富島で会いましょう

BIGINがこのように歌う竹富島は、石垣島からフェリーで10分のところにある小さな島である。この島に残る赤瓦の伝統的な建造物郡は国の重要保存地区に指定されており、旧来の沖縄の美しい景色を今に残す景勝地だ。

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僕たちはこの島に朝一のフェリーで乗り込み、ある鬼ギャルに出会ったんだーーー。

チャリ借りるなら電動自転車一択っしょ

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竹富島は小さい。周囲9kmのこの島を回るには自転車が最適であり、複数の貸し自転車屋が観光客相手に殿様商売をしている。とある貸し自転車屋に足を運んだところ鬼ギャル2人が現れた。

相席スタートの山崎ケイが「ギャルというものはブスよりもキャラが強いため、ブスはギャルになることでブスを隠せる」と言っていたが、その手のギャルではなくちゃんと可愛いギャルであった。

黒ギャルと白ギャルの組合せで、2人とも背中がガッツリ露出したびんぼっちゃまスタイルの服を着ており我々の目を奪ったのであった。

「な、なんて骨体(こったい)!」と茶魔語で耳打ちする我々をよそに『絶対に地図を折り曲げてはいけない』という謎ルールを3,4回強制してくる死ぬほどコダワリの強そうな店員が、決して立ち入ってはいけないエリアのことや料金体系の説明を延々と続ける。何でも、普通の自転車は1時間300円、電動自転車は1時間600円とのこと。我々は迷うことなく電動を選択。三十路の体力で普通の自転車はキツイのだ。

猫も琉球仕様

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グックと呼ばれる珊瑚石灰岩を使った手積みの石垣の間を縫うようにチャリを走らせるといたるところに猫がいた。本土の猫に比べるととても顔が細い。そしてとても人懐っこいのである。こいつらも亜熱帯に住むのは暑かろうて。

どっちに何があるか分からない時は「ニライカナイ」つっとけばよい

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国の登録有形文化財に指定されている西桟橋。エメラルドブルーの海の先にかすかに見えるは西表島。かつてのマラリア発生地で行けば死ぬと言われた恐怖の島である。

ちなみに沖縄の海を眺めて「あっちの方角には何があるの?」と聞かれて分からなかった際は「ニライカナイさ」と言っておけば粋です。ニライカナイとは沖縄の信仰で言うところの理想郷。これで口説けるので覚えておいて損はないでしょう。

竹富島で唯一遊泳可能なコンドイビーチ

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地図を片手にチャリを走らせ島で唯一遊泳できるコンドイビーチへ。まだ朝9時のため人はほとんどいない。ちなみに、道中『ならぬ』と書いてある幟がたくさんあって、『ならぬ』って何それ竹富島名物?おいしいの?と思っていたところ「リゾート建設反対」の『ならぬ』であった。

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この透き通るような透明度の高い海水!遠浅の白砂!これが八重山が誇る屈指の浜である。ただ、おっさん2人で海に浸かって「アハハアハハ~!」と水を掛け合うわけにもいかないためすぐに飽きる。そして気づくのであった。鬼ギャル2人がビーチで遊んでいるではないか!

それはもう篠山紀信のように

ビキニの鬼ギャルを目の保養とばかりに観察したところ、インスタ映えの写真撮影に余念がない模様。聞き耳を立てると「三脚忘れちゃった~」とのことであった。”旅の恥はかき捨て”を地で行く後輩Mがこの好機を逃すわけもなくギャル2人に声をかける。「写真撮りましょうか?」そうすると「ありがとございます~!」とマンザラでもなさそうなことを言うので思う存分2人の写真を撮ってあげたのだった。

こっちも気分が乗ってきて「もっと動きがほしいね~!」などと調子に乗ってリクエストすると大いに身体をくねらせたり跳んだりしてノッてくるのでまるで篠山紀信にでもなった気分であった。

ただ、撮っているカメラはギャルのものだったため、こちらのカメラで撮らないのは何とも惜しいという気持ちになり「僕のカメラで撮ってもいいですか?」と自前のカメラを向けたところ「撮ってくれたお礼にどうぞ~」とのことであった。写真に写ってあげることがお礼になる、ということを生まれてこのかた心底疑ったことのない発言に人種の違いを感じたが、後輩Mを挟んで撮影に興じた。
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個人特定を避けるため、ここからは絵画風でお届けする。どうですか?最高でしょう!?もうファインダー越しにガン見である。
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動きがほしいと言ったらこうである。なんていい子達なんだ!『ギャル=怖い』という図式は未だ健在だが、やはり自らアクションしないと絶対に得られないものがこの世にはあるのだ。いつまでも遊び心を忘れないオジサンでいたい、そう思いつつ彼女達と別れた。

あの日出会った鬼ギャルの名前を僕たちはまだ知らない。

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ギャル達と別れた後、牛車に乗ったりチャリで島一周したり星の砂が採れるビーチに行ったりしてみたのだが、ついぞギャル達と再会することはなかった。

帰ってからも無性に気になりインスタやツイッターで「#竹富島」「#コンドイビーチ」「#鬼ギャル」「#黒ギャル」「#白ギャル」「#パンケーキ」などのキーワードで探してみたのだが、ついに彼女たちを見つけることはできなかった。

おわりに

だが、旅の思い出はこのくらいがちょうどいい。鬼ギャル達よ、またいつか、竹富島で会いましょう。