キジ猫世間噺大系

一人暮らしで猫を飼った男の末路

ホーチミン旅行記2日目 メコン川デルタクルーズ+水上人形劇鑑賞+サイゴン川ディナークルーズ

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この日はメコンデルタの町ミトーでジャングルクルーズ→水上人形劇鑑賞→サイゴン川ディナークルーズと、ベトナムらしさを一気に詰め込んだ日だった。そして静かに忍び寄る腹痛の影・・・!

 ↓1日目の記事はコチラ

メコン川デルタクルーズ

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ホテルの朝食はバイキング形式だった。ベトナム料理から洋食まで取り揃えられておりかなりのバラエティだが全体的にニョクマム臭いのはナゼ?ここで食べたフォーか生野菜がBINGOし、後に苦しむハメになるのだった。 

メコンデルタとかいう肥沃な大地

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朝食を終え、バスで1.5時間ほど南に向かうと、そこには肥沃な大地メコンデルタが広がる。関東平野の1.5倍の面積を有し、ベトナムの輸出米のほとんどを産出するこの大地にミトーという河岸の町がある。ここで、ホーチミン観光者のほとんどが体験するというメコンデルタクルーズができるのである。

メコンデルタと言えば、かつて開高健が名著「ベトナム戦記」において残したこの文が強烈に心に刻み込まれて離れない。

この国は貧しい。おそろしく貧しい。娘達は豚小屋のようなどぶとニョクマムの悪臭のたちこめた家の中で綿屑に手足をつけたような兄弟達とおしあいへしあいザコ寝をしている。一方メコンデルタは行けども行けども地平線の果てまで水田が海のように広がっている。酔いそうなくらい広くて豊かである。肥料をやらなくても稲が育つそうだ。一年中照っていて水も豊富なのだから、その気になれば年三回の収穫をあげることだってできる。しかしこの膨大な穀倉の中に暮らしながら農民達はクリークの岸に泥と椰子の葉で掘立小屋をつくり、豚や鶏といっしょに暮らしているのである。ないといったらほんとに何もない。床板すらもないのだ。空にまでとけこむ水田の巨大な豊饒さと土にとけこむ貧しさのこの対照は異様なものである。何者かによる搾取のすさまじさをつくづく感じさせられた---

開高健「ベトナム戦記」より

 中国に千年、フランスに80年支配された永い侵略の歴史は冷戦の代理戦争を以って終結することになる。今、ベトナム人は千年以上の時を経てようやく本来の豊かさを取り戻しつつあると考えるととても感慨深い。まぁ、社会主義国だから土地は全て国のものなんですけどね。

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一行はバスでミトーへ向かう。車窓から見える景色は遥か広がる農地ばかり。メコンの水を使い、今でも肥料が不要な雄大な三毛作の田畑に点在する石の箱。お墓かな?と思ってたらガイドさんの説明によるとやっぱりお墓だった。ベトナムでは土葬で、田畑や家の庭に石棺を立てるとのことだった。

ミトーの町

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ミトーに到着。早速小船に乗り込み対岸の中洲へ。


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メコン川。水は四六時中ニゴちゃんだけど、汚いわけではなく膨大な養分が溶けている。まじ肥沃。

ドリアンの下位互換「ジャックフルーツ」

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中州に着くと悪魔の実のような謎のフルーツが木になっていた。聞くと、ジャックフルーツというらしい。


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後ほど市場で買ってホテルに持ち帰ったところ、街のニョクマム臭から離れた途端にこいつが生ゴミのような強烈な悪臭を放っていることが判明。即座に冷蔵庫に封印した。しばらくは冷蔵庫を開けることすらためらわれたが、意を決して食べてみるとこれが何とも美味だった。例えるならマンゴーとパイナップルを足して2で割ったような味。食感はねっとり濃厚。口にするとオイニーの方はさほど気にならなかった。


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ガイドさんが何やら説明していたけれど、このサビ猫がとっても慣れていてこねくり回していたせいで全く話を聞いていなかった。協調性がないジャパニーズもいるということを知らしめてしまった。「キョウケンビョウニナルカラサワラナイデネ」と言われたが時すでにお寿司。 

はちみつ農園は押し売りハウス

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突如としてハチミツ農園へ案内された我々にドヤ顔でハチを差し出すピチシャツのマスター。ツアー客の一人のおばちゃんに指を突っ込みナメてみろと促す。ハチは刺さない。僕はさっき猫を触ったので素手で触るのが躊躇われ、スプーンをもらった。リュウガンの花を媒介して作られるハチミツは確かにおいしい。そしてこの時点で胃が締め付けられるように痛くなってきた。

 

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ここで休憩タイムだ。紅茶にライムを搾りハチミツで甘みづけ。胃痛に効くと聞き、渡りに船とばかりに飲んだが、いっこうに良くならない。そしてここで怒涛のハチミツの押し売りが始まった。あれよあれよという間に500mlボトル5本をお買い上げである。めちゃくちゃ重い。

 

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そしてなぜかここでヘビを首に巻いて写真が撮れるというオプションがあった。ヘビは結構重く、ひんやり冷たかった。ヘビを怖がる人もいたが、ヘビが怖い人はより原始に近いホモサピエンスであるというのが僕の持論である。 

ココナッツキャンディ工場

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 ココナッツから飴を作る一部始終を見せつけられ、例に漏れず押し売りである。なおこの時点で僕は腹痛により暑さとも苦しさともつかない脂汗をダラダラ流し、飴の生成工程など全く頭に入らなくなっていた。古いココナッツはすっぱいとか何とか言ってた。

幸せなら手を叩こう

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次に、「オンガクヲキキナガラフルーツヲタベルデスヨ」と案内された。お茶はめちゃくちゃ熱く、フルーツはぬるかった。何よりあまり甘くなかった。

 

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突如として始まる訳のわからないベトナム音楽を無理やり聴かされる。「幸せなら手を叩こう」のベトナムバージョンからのカタコト日本語バージョンを横目に、掘立小屋のようなトイレへ駆け込む。完全な食あたりだった。東南アジアのトイレらしく紙はなかったが、流す用の蛇口があったため現地方式で何とか対応。席に戻ると空のチップ入れの器がぽつねんと置いてあった。 

メコン川下り(上り?)

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そしてこれが有名なメコン川クルーズ。どっちが上りか全くの不明。上がってんの?下がってんの?みんなはっきり言っとけ、つって2kmの流れを20分でゆく。実にベトナムライクな光景だ。これこれ、これがやりたかったんだ。

途中、船頭のオッサンが俺の家はここだと川沿いの掘っ立て小屋を指差した。小さい子供が3人いると言っていたが、今思うとあれはチップを求めていたのだろうか。

 
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昼食はエレファントフィッシュとかいう「ニホンジンコレミンナスキ」を食す。カピった春巻きの具にして食べる。腹が痛くてあまり食えなかったが、普通の白身魚だな、と思った。

そして、突如として降ってきた天地をひっくり返すようなスコールをかいくぐり、またバスで1.5時間かけて腹痛の波と戦いながらホーチミンへ帰りました。

水上人形劇鑑賞

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ホーチミンに帰り一息つくと、ベトナムの伝統芸能 水上人形劇を鑑賞する。特設の劇場はコミカルな人形が出迎えてくれる。 

 

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変な髪形のオッサン?の人形が水に浸かり何やら喋っている。なぜ水に浸かる必要があるのか全くもって不明だけど、これが千年の歴史を持つベトナムの伝統芸能だ。激しく動く人形の動きはとても躍動感があり、世襲制の一子相伝の業だそうで。


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何て言ってるかは全然わからないけどストーリーは単純で面白い。ちょっとした小噺がたくさん詰め合わせてあって1時間くらい。写真はみんなで魚釣りをするの図。なんといっても声がおもしろい。Huuuuuu!!!!!とか言いながらアグレッシブに水の上を躍動する人形達にニヤニヤが止まらない。四聖獣として竜虎鳳亀が出てくるのも絶妙に中二心をくすぐられる。

演者は少なく見積もっても3人は必要だな。


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とか思ってたら8人もいた。そして今気づいたけど、人形劇はYoutubeで見れるという哀しみ。。

サイゴン川ディナークルーズ

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夜はサイゴン川のクルーズ船に乗りディナー。腹が痛くてあまり食えなかったため写真があまりないけど、このクルーズ船、おもしろいことに階層によって人種が別けられている。1階はベトナム人、2階は中国人と韓国人、3階は欧米人と日本人だそうだ。ハンターハンターのブラックホエール号ばりの階層構造に世界の闇を見た。

そして、我ら3階では割れんばかりの大音量のフラメンコが鳴り響き、話すことさえままならなかった。

 

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ホーチミンの夜景をパシャリ。満々と水を湛えたサイゴン川に映えるドイモイの象徴は僕らにアジアの底知れぬエネルギーを感じさせ、熱帯の夜は更けていくのであった。

 

3日目はベトナムを語る上で外せない、ベトナム戦争レポートをお送りします。