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三重いちご「章姫(あきひめ)」の一番おいしい食べ方を探求する

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冬に収穫の最盛期を迎える果物の代表は「いちご」ですね。この度嬉しいことに三重県は玉城町の「玉城ふれあい農園」よりたくさんのいちごをいただきましたので、その美味しさを最大限に活かすべく、色々と食べ方を試行錯誤してみました。

章(あき)姫(ひめ)とは

今回頂いたいちごの品種は「章姫」。写真でも分かる通り、まずそのビジュアルの良さに目を惹かれます。大きくてキレイな円錐形で、とても型が良い。

他には、「果皮がやわらかい」「酸味が少なく糖度が高い」「果汁が多くみずみずしい」といった特徴があり期待が持てます。

静岡で産まれた品種ですが、三重でも多く栽培されていて、三重県で栽培されるいちご全体の実に90%が「章姫」だとか。

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1.いちご飴

まずは形の良さを活かすべく、いちご飴にしてみました。カラメルソースを作る要領で小鍋にグラニュー糖3に対して水1を中火で熱し、若干色づいたくらいで竹串に刺したいちごに絡めて常温で冷やす。

で、これ早速失敗してるんですが、いちご自体の水分が多いからか、うまいこと糖衣がコーティングがされないという。透明のキレイな状態を期待してたんですが駄菓子屋の糸引き飴(分かりますかね?)みたいにザラザラになってしまいました。

水分が多い、というのはうまく行かないのですね。飴といちごが分離してしまうので、味はともかくいちご飴は一旦低評価としましょう。

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2.いちご大福

今度は王道に行ってみよう。
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白玉粉、砂糖、水を混ぜたものをレンチンして、求肥を練ります。
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片栗粉を付けながら整形してこしあんと一緒に丸めると・・
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形がきれいに映えるいちご大福の完成。

章姫は酸味が少ないので、逆にあんこの甘みとのコントラストが効かないかな?と思いましたが、甘✕甘でも大福は美味しいものですね。果肉が柔らかいので大福部分との一体感があり実自体も大きいので、一緒にすることの相乗効果が申し分なく発揮されます。120点!

3.いちごサンド

次は流行りのバエるフルーツサンドを。
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8枚切りの食パンに、よく泡立てた生クリームを塗りたくります。
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逆サイドにも生クリームを盛り、断面を意識して章姫を並べます。この時どんな状態で並べたかしっかり覚えておくことが大事ですね。
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ラップでピッチリと巻いて小一時間ほど冷蔵庫へ行ってらっしゃい。
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熱湯で温めた包丁でラップの上から刃を当てると面白いように切れます。断面もこの通り円錐のきれいな形が映えます。

やはりこちらも大福と同じく章姫の柔らかさがいい仕事をしていて、クリームやパンが分離することなく食べられる、というのがいいですね。クリームを甘さ控えめにすることで章姫本来の甘さが引き立ち、食パンのほのかな塩味も相まって非常に美味。あと、やってみると断面映えのフルーツサンドはとても簡単。店で800円のサンド買ってる場合じゃなくて、自分で作ろう!と思いました。

4.いちごタルト

お遊びはここまでで、こっからは本格的に行きます。

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薄力粉、アーモンドプードル、無塩バター、砂糖、卵を練って冷蔵庫で寝かせたものを、タルト型に敷き込んでいきます。余った生地はクッキーにでも。f:id:kiichangazie:20211220232314j:image

次はアーモンドプードル、無塩バター、砂糖、卵を練ってアーモンドクリームを作ったら、さっきの生地の上に乗せていきます。ついでに市販のミニタルトにも乗せていきます。
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180℃のオーブンで15分、160℃に下げて10分。アーモンドクリームがてんこ盛り過ぎてかなり盛り上がってしまった。
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牛乳、砂糖、卵黄、薄力粉、バニラエッセンスを少し煮詰めたカスタードクリームをタルト生地の上にふんだんに乗せていきます。
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半分にカットした章姫を心のままに並べて、上から砂糖、水、ゼラチンを混ぜた所謂ナパージュをかけ艶出しと保湿を施します。

やっぱり粒揃いのいちごを並べると圧巻ですね。見た目がとにかく良い章姫にはやはりタルトがふさわしいです。ホロホロとした柔らかめのタルト生地に、濃厚なカスタードクリーム、そしてジューシーな章姫が合さって、口の中でほどけます。ちょっと手間ですが、章姫の特性にはかなり合っているかと。

5.サンタさん

時期的にクリスマスだったので遊び心で。

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頭をカットしてサンドで余った生クリームを挟む。
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チョコペンで命を吹き込むとこの通り。ミニタルトにも乗せてみました。スーパーで不揃いいちごを買ってもこうは行くまい。形がいいというのはやはりかなりのメリットではないでしょうか。

6.そのままいってみた

これまで色々作ってきましたが、プレーンでいってないことにはたと気づきました。

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で、これが大変に驚いたんですが、今までの努力を水泡に帰するようですが、これプレーンが一番美味しい。極上の牡蠣は生が一番美味い、みたいな。最上級の和牛はさっと炙るだけがいい、みたいな感じです。手を加えることで食材のポテンシャルが下がる現象が発生してます。

単体でも酸味が少なくバランスが取れた甘みで、砂糖や練乳は不要。ジューシーで水分量が多いけど、味が薄いわけではない。噛むとじゅわっとする。味がマイルドで尖ってないので、万人受けもするし小さな子供でも食べやすいと思います。

甘いのを散々食べたからさっぱりしたのが良くなった、とかではないです。これは単体で完成されてるのではないでしょうか。

おわりに

とはいえ、柔らかいので加工や他の素材と一緒に食べるのもよく、形が良いのでやっぱり見た目が抜群。生産者の方のコメントで、「外国人は味で買い、日本人は見た目で買う」というのがありました。やはり日本人向けに徹底的に見た目にこだわった品種のようではあります。が、味を含めた全体的なクオリティは非常に高いですね。冬のプチ贅沢にオススメしたいです。

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