北東北、それは大いなる秘境。
九州出身の私にしてみれば北東北など全く縁がなく、一生に一度行くことがあるかどうかとおよそ疑問を呈するレヴェルのエリアでありますが、酒うまし、旅情よしと方々から聞き及ぶに至り、よっしゃ、連休取れたしいっちょ行ってみっかと重い腰を上げたことに端を発し、ついぞ秋田~岩手~青森の幻の大地を踏むに至ったのであった。
今回は先週三泊四日で訪問した北東北のおもひでを記します。
結論から言いますと、北東北って森が多く、熊(キムンカムイ)の脅威にさらされていて、平壌と緯度が近くて夏でも少し寒くて、どこを掘っても温泉が出て、親切な色白の秋田美人がオッスオラゴクウ的なイントネーションで口を開けずにしゃべるイメージを持っておりましたが、実際は当たらずとも遠からず、というかほとんどドンピシャでイメージが一致していて実におもしろ楽しゅうございました。
以下、備忘録までに。
北東北の山々
秋田のどこかを飛行機からパシャリ。
見よ、この広大なる大地、三日月湖、自然堤防、見渡す限りの田んぼ。そこには都会人が忘れ去った日本の元風景がある。
きっとここにはiphone8もインスタ映えも全く意に介さない人達が住んでいるに違いない。
心が洗われるようだ。
なまはげ館
道も空いてたのでレンタカーかっ飛ばして男鹿半島は、なまはげ館に到着。
ここでは男鹿半島に伝わるなまはげの全てが、ある。
ここに来て初めて知ったこと。なまはげは未婚の男性が扮し、地域によって何十通りものなまはげがいる。よって見た目は統一しておらず、やたらポップなやつから変質者然としたやつまで多岐に渡るバリエーションが存在するのだ。以下のなまはげを見てほしい。
これが家に押し入ってきて包丁を突きつけてくる、それはほとんど殺人鬼です。
子供が泣き叫ぶ映像が館内に流れていましたがそんなもの誰だってそうなるはずで、そうならなかったらならなかったで大物すぎて逆に心配になるというものだ。今すぐ学習院あたりで帝王学を受けさせた方がいい。
男鹿真山伝承館では実際になまはげがやってくる場面を楽しめる。
なまはげは家の回りを叩きながら大声をあげて乱入してくるのだ。
なまはげ台帳にはターゲットの一年間の悪行がしっかりと書き込まれている。
私は「ギャンブルばっがりしてねがーー!?」と凄まれたのだが他は何と言っているか全くもって分からなかった。ちなみに男鹿の人同士で話している場に遭遇したが、誇張でもなんでもなく、「んだんだ」しか聞き取れなかった。
なまはげにはお酒とご馳走が振舞われる。
男鹿の人たちを見るにつけ、皆なまはげの洗礼をくぐり抜けてきた猛者たちなのだと一人胸が熱くなった。
男鹿半島の海鮮屋なる食堂で昼食。ウニいくら丼1,980円也。皆が働いている平日の昼間にウニいくら丼を食べている。きっと会社のデスクの隣のアラフォーのJさんはいつものスーパーの弁当と栄養バランスを考えた申し訳程度のサラダをモサモサと食べているに違いない。そう思うだけで私の胸は踊った。私は今、日本人が働かなければならない平日、それも昼間に新鮮なウニいくら丼を食べている、その事実だけで天にも昇る心地ではあったがいかんせんそれが社畜たる所以なのであった。味は覚えていない。
角館
残念ながらあまり記憶なし。昔の武家屋敷がいっぱいあってすごかった(小並感)
田沢湖
時間があったので日暮れ前の田沢湖に立ち寄った。iphoneで撮影したところ思いがけずフォトジェニックな感じで撮れましたが肉眼では眩しすぎて何も見えず、それはさながらGACKTの未来のようでありました。
夕食はホテルのものを食べる。初めてきりたんぽなるものを食べましたが、おいしくないと思ったのですがこのホテルのものがおいしくないのか、きりたんぽ自体がおいしくないのか、はたまた私の舌が終わっているのか判然としないままエイヤッとぞ飲みにける。
そんな感じで初日は終了。明日は乳頭温泉郷〜小岩井農場〜盛岡〜花巻だ。宮沢賢治がイーハトーブと呼んだ美しきその地をついに踏みしめる時が来たのだ。私の心は銀河ステーションに訪れたジョバンニの如く高鳴っていくのであった。
一方その頃北では核実験の準備が着々と進んでおり、翌朝早朝あたり一帯に鳴り響くJアラートに目覚めの一発をかまされることなど知る由もなく、みちのくの夜は更けていくのであった…
2日目はこちら。