キジ猫世間噺大系

一人暮らしで猫を飼った男の末路

今年の大学一年生ってほんとカアイソウ、カアイソウ

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コロナ禍でのお盆、実家に帰省したくても出来ない大学生が多くいるらしい。さらにこれが入学したての新入生だったりするものだから実に可哀想である。彼らは晴れて憧れの大学生になれたは良いものの、入学式も無く講義も休みで友達なんか作る機会もない。


本来であれば入学したては所謂「確変」状態であり、サークルの新歓に片っ端から乗ってみてはタダ飯タダ酒両手に花で憧れのキャンパスライフに胸をときめかせるものである。花見なんか参加しちゃったりして自己紹介すんの。方言隠して、○○学部の○○です、○○っちと呼ばれてます、エルレが好きです、彼女募集中です、とか言っちゃったりして、まだ慣れてない苦いビールあおって、染めたての髪よろしく明るいフリして愛想振りまくの。んで、メアド聞きまくって誰が誰だか分からんようになり、そのうちキャラに疲れて、やっぱ自然体で行くわってなる頃にGWを迎えるのが新入生の風物詩でイニシエーションだというのに。それなのに。


今年の地方から出てきた新入生達は慣れない土地に下宿して、新歓にも参加できないわ講義はリモートだわバイトも探せないわ実家にも帰れないわで家で高校時代の友達とZOOMするしかないんです。これホント、サミシイの極致ではなかろうか。かわいそ過ぎて笑けてくる。いや、笑っちゃいけないんですけど。こんなん鬱にもなりますわ。


ここまでの境遇ではないが自分にも身に覚えがあり、大学卒業する年の夏、バイト以外なんにもやる事が無かった俺は、最終的に深夜の住宅街の十字路で大の字に寝転がり空を見上げるという奇行をやってのけた。今考えてもなぜそのようなことをしたのか当時の感情を思い出せないんだけど、相当キテる、ということだけはお分かりいただけただろうか。あの時の背中のアスファルトの熱さと輝く半月がやたらと綺麗だったことだけ覚えている。


「小人閑居して不善をなす」という諺がありますがね、俺くらいになると「暇を持て余した神々の遊び」でいけましょう。新入生諸君、呉々も自分を見失わないように。忌むべき孤独と戯れあえた時、初めてオトナになれるのだと思います。かしこ。