キジ猫世間噺大系

一人暮らしで猫を飼った男の末路

京都冥界案内

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京都で学生してる時に無性に怪談にハマった時期があって、いろんなスポットに出かけてました。


同じ学部の友人も怪談好きでよく二人でヒソヒソ怪談を共有してたんですが、彼が妖怪の話を聴かせてくれる謎のおじさんの情報を仕入れてきて、真夏に二人で会いに行ったことがあります。場所は忘れたんですが、洛中の古民家まで足を運んだら脂の抜けたビートたけし似のおじさんが出てきて、二階に案内されました。

 

一応カフェということだったんですが、ただの小汚い畳の部屋で、妖怪関係の本が乱雑に置いてありました。知らない人んちなんで僕らもかしこまっちゃって正座してました。そしたらおじさんが「飲み物どうします?」とメニュー見せてくれて、僕はコーラを頼みました。おじさんは僕の目の前で、家で麦茶飲む感じの小さくて汚いコップに、飲みかけのペットボトルから気の抜けたコーラを注いだんです。それが少ないしぬるいしで。しかもそれが400円もして。その時全然カネ持ってなかったんでなけなしの400円がとても惜しく思われました。

 

それからおじさんの語りが始まったんですけど、この家には牛鬼という妖怪が出るとのことでした。この牛鬼、かなりタチが悪いらしく古民家に住み着いては度々おじさんを困らせてるとのことです。畳の部屋にはジュースの缶が数本転がっていて、開けてもいないのに中身が減っていて牛鬼が飲んでるとのことでした。

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鬼太郎ではぬらりひょんと並び最凶とされる牛鬼がそんなせせこましい真似するかよと思ったし、どうやって牛鬼の仕業だって分かったんだよ、と思ったんですが、おじさんの顔がマジすぎて何も言えませんでした。

それから自己満的な妖怪語りをちょろっと聞かされて2000円も取られました。このオッサンの方が牛鬼よりよっぽどタチ悪いわと思いました。

 

他にも、気になる女子と一緒に百物語イベントに出かけたこともあります。集まって1人づつ怪談を話していって、100話終わった時にモノノケが召喚されるというアレです。女子とはすでにやくしまるえつこの歌をイヤフォンシェアで聴く仲になってたので、これは恐怖体験による吊橋効果あるわとか最終的には俺のモノノケ召喚されちゃうなとか思って誘いました。

 

これも古民家で行われたんですが、1人話が終わったらロウソクを消していく方式で、僕も鉄板の「丑の刻参りを見た人」の話をカマしてみんなを恐怖のどん底に陥れてロウソクを吹き消しました。

 

次に僕の連れのオキニの女子が話したんですが、その子は夜にヤバい女を見た話をボソボソとし始めました。長くてつまらないのは全然良くて、むしろかわいいって言うか、全然許せるんですが、話のオチが大声でビビらせる系だったんですよね。いきなりギャーとか叫んで、それが控えめに言ってどんずべってて、一方で顔見たらまんざらでもなさそうな感じになってて。申し訳ないんですがなんか百年の恋も冷めたって感じになっちゃいました。ロウソクと一緒に恋の炎も吹き消されたみたいな。ある意味モノノケが召喚されたっていうか。その子とはそれきりでした。

 

あと、住んでた寮で真夏に夜中怖い話した後、丑三つ時に一人で風呂に入ったんですよね。椅子に座って髪を洗ってるといきなりケツに激痛が走って。なんか蜂に刺されたみたいな痛みで、ビビりまくって虫を探したんですがどこにもいなくて。それから洗髪を再開したんですけどまたケツに走る激痛。

 

これ完全に霊的現象だわ、霊は水辺に集まるしアーメンとか思って泡も流し終わらないうちに早く風呂場から出ようとした時に、プラスチックの椅子が割れてることに気づきました。椅子の割れ目にケツ肉が挟まってたっていう。

京都って歴史が古い分怖いですよね。