キジ猫世間噺大系

一人暮らしで猫を飼った男の末路

口から先に生まれてきた『カリスマ山根』が可愛く見えてきた今日この頃

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盛夏のワイドショーを賑わす山根明(78)とかいうボクシング連盟会長があまりに面白すぎてテレビに映る度にガン見してるんですが、この人見れば見るほど憎めなくなってきた。

口から先に生まれてきたカリスマ山根

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三つ揃いのスーツにグラサン、どう見ても筋モンとしか思えない出で立ちで、カメラの前で「無冠の帝王」「カリスマ山根」を自称する強烈キャラはマスコミの格好の餌食となっている。「JOCの前で腹切って死ぬ!」「ワシは歴史を持っている男や」などと顔芸交えたカンフル剤を炸裂させる度にマスコミが盛り上がるものだから、ついには28歳下の韓国人嫁に釘を刺されて口を噤んでしまった。

この人ほっといたら何でもかんでも正直にベラベラ喋ってしまうんだろう。口から生まれてきたというヤツだ。ヤクザとの交際も隠れもなく公言してしまって大丈夫なんだろうか。少しタイミングは遅かったが嫁さんはとても懸命な判断だったと思う。

こういうめんどくさいオッサンたまにいるよね

そんでこのオッサン、悪辣非道の数々を取り上げられて大炎上中だけど、その人となりを表すエピソードが実に味わい深い。まず偏食家で、豚肉はNGだけどお好み焼きの豚玉はOKとか、シュウマイにグリーンピースが乗るのはNGだがちっちゃい海老は大好物とか、ウナギや穴子等の長いものはNGとか、クソ面倒くせえなおい!

下のおもてなしセットなんかネットでは「お供え物」と言われているけど乾パンやいかみりんにジジイの素朴なコダワリを感じ取れておもしろい。

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仕事でもたまにこの手のオッサンと遭遇することがあって、ホッピーが置いてある居酒屋じゃないとダメとか、芋焼酎の種類が多いところじゃないとダメとか、色々言われる度にクソ面倒くせえなおい、黙ってメチルアルコールでも飲んでろよと悪態をつくのだが、反面このワガママっぷりがかわいかったりするから不思議である。

逆に言うと、おだててヨイショだけしておけば満足する相手だからカンタンなのだ。実社会でのあからさまなヨイショはハタから見ると最早コメディではあるけれど、好き嫌いがよく見えず、何を振っても反応が薄く、若手にも興味を持たないオッサンの場合の方が対処に困る、というのは世の営業マン達が日々痛感している"あるある"だろう。

ここの嫁さんはカリスマ山根の好みを熟知しており、どこのメーカーのチョコレートが良いとかキャラメルは森永じゃないとダメだとか、全てを把握しているらしく実にかいがいしい。嫁はテレビのインタビューで「会長、あなたは世界一の男や」と言っていて不覚にも少しホロリときてしまった。

実社会に蔓延る山根的忖度

あと、このように偉いオッサンをヨイショする風潮は程度の差はあれど会社で結構あからさまにあるから笑える。特に顕著なのがメール文面。

 

「〇〇課長様」

↑馬鹿かと。敬称2つ付けてんじゃねーよ。「課長」には既に敬称入ってんじゃボケ。

 

「御連絡させて頂きますよう宜しくお願い申し上げます。」

↑自分の行為なので「御」は不要

 連絡するのに相手からの許可は不要なので「させて頂く」不要

 もっと言えば「頂く」だと受領の意味なので「いただく」とひらがなにするのが正着

 自分の行為に対して「宜しく~」不要

クドいわ馬鹿。「連絡致します」が簡潔明瞭、正しい表現なんだよ。

 

同期の所属する部署の新入社員が「皆さん偉い人に対する態度があからさま過ぎて笑えました」とコメントしてたらしい。至極まっとうな感覚だ。自己保身と媚があからさまに見える態度に虫唾が走るが、こんな組織は世の中に無数に存在するのだ。「気遣い」でなく「ゴマスリ」に気を良くする上の奴らは総じてお山の大将だと思うけど、そのあたりをいい感じのバランス感覚で転がすのが末端の大事な処世術だよね。

あぁ、マーロン・ブランドのオマージュなのね

そんでウケたのが、告発者の一人である元秘書が明かしたキャバクラでのエピソード。とある夜にキャバクラで女が席に着いた瞬間から会長が仏頂面で黙ってしまったもんだから、皆が焦って「会長、女替えましょか?」とか「お気に召しませんか?」とか気を遣うんだけど、会長はただ「いや」と答えるばかり。その後会長はボソッと一言「最高や」。最高なら最高の顔せんかい!!とツッコミが入るのだ。

着メロがゴットファーザーのテーマであるのもじわじわ来る。電話取材の時に流れる音楽が「♪チャラララララララララ~」つってこの上なくシュールなのだ。本人もゴットファーザーが大好きらしく、往年のマーロン・ブランドを意識した振る舞いであることに合点がいった。要は人情、任侠、家族愛がテーマの男なのだ。

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色々めんどくせえオッサンではあるけど、涙深く情に厚い、実に親分肌の男として段々可愛く見えてきてしまった。今はどうか知らないけど、かつてのボクシング界はDQNと筋もんの世界だったと想像される。幕の内一歩みたいな純朴キャラでは渡り合えない世界に身を置きながら、歴戦の荒くれ者達をまとめ上げるにはこのくらいの強烈キャラじゃないと務まらないのかもしれない。

サンジャポへの出演が待たれる

という訳で、このオッサンに好感を持ってしまったわけだけど、実際の不正にどう落とし前つけるかは別の話。取り合えず会長職を辞任はしたけれど、これからの動向に注目だ。案外もっとヤバイ不正が明らかになって、かつてビートたけしが麻原彰晃をTVタックルの対談で持ち上げたことが黒歴史となったような事象がところかしこで起こるかもしれない。

まぁ一つ言えるのは、こんなキワモノキャラをサンジャポあたりが黙っているはずがなく、起用される日も近いかもしれない。本人も出たがりのようだしね。