キジ猫世間噺大系

一人暮らしで猫を飼った男の末路

期待して「うにしゃぶ」を食いに行ったのだが、俺はこのうにしゃぶ屋に神の裁きを見舞いたい

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世の中何が腹立つって、高い金払って入った飲み屋の接客が最悪だった時ほど胸糞悪いものはない。

 

「うにしゃぶ」とかいう料理

先日、後輩のM田が東京に遊びに来るということになり、じゃあ何か美味いものでも食いに行くかということで色々店を探してたのだが以前人づてに聞いた「うにしゃぶ」なる食い物の存在が頭を掠め、俄然気になってきたため食べログで調べたらば星3.6のかなり良さげな店を発見した。

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「うにしゃぶ」とは贅沢にもウニを丸ごと出汁にぶち込んだ黄金色のスープで鯛や海老や帆立なんかの魚介類をしゃぶしゃぶで食すという贅を尽くした料理であるという。ウニ好きの僕は俄然興味が湧いてきた。何せ味の予想がつかない。それは甘いのか辛いのか、不味くなる要素は何一つなし、これは一度食すべしと思い、M田に提案したところあまり乗り気ではなかったが「筆者さんの食いたいものが私の食いたいものです」などと後輩の鑑のような発言をしていたことを引き合いに出し、強引にM田を説き伏せ新宿三丁目の店を予約させたのだった。飲み放題込みで8千円。まあまあの値段だしこれで外すことはないだろう。とまだこの時は思っていた。

 

異国情緒溢れる店内

予約当日、表にメニューの無い一見さんお断り仕様の純和風の門構えを新宿三丁目の一角に認め、暖簾をくぐった我々はベトナム人と思しきカタコトの兄ちゃんに促されるままカウンター奥の席に案内された。ベトナム人を雇うことにとやかく言うつもりはないが、純和風の店内とのミスマッチに違和感を覚えた。なお、店内の客の大半が女性だった。女性はウニ好きが多いというのもあるだろうが、それ以上に創作料理が好きなんだと思う。

 

M田御一行様の衝撃

席につくと、本日のお品書きが書かれた紙が置いてあり、ご丁寧にも「M田 御一行様」と記載があったのだが、これはおかしかろう、と思った。「〇〇御一行様」というのは団体客の時に使うものであって、個人客の場合は「〇〇様御一行」ではないのか。M田は呼び捨てにされてねーかと思い、ググったら僕らの指摘はご名答であった。この時はまだ「食べログ評価3.6の名店でもこんなミスするんだな」くらいに思っていた。

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え?あんたがそっち持つのさ?

程なくして注文したビールがカウンターの向こうから強面の大将風の男から出されたが、その出し方が大将がジョッキの取っ手を持って突き出してくるというものだった。斬新な提供のされ方に面食らったが、両手でジョッキを受けてM田と乾杯する。ぬ、ぬるい。。水割りなどは薄型のグラスで出されていたのを確認したため、二杯目からはビールは薄型グラスでもらうことにした。ぬるさも幾らかマシになった。

 

背後霊じゃないんだから

お通しをつまみながらビールをちびちびやっているとずーっと背後に気配がある。ベトナム人が背後50cmの距離にずっと立っているのだ。これは落ち着かないし不快である。ここでM田が「後ろ立たないでもらえます?」と厳しい一言を浴びせたのだった。

 

井之頭五郎も怒ってきますよ!

カウンターの奥には強面の大将風の男と30歳くらいの板前が立っていたが、スマホ片手に繰り広げられるそいつらの雑談がまあひどかった。

「明日は絶対アドマイヤマーズ買いですよ」とか「あいつらまじクソっすよ」とか、中身のない低俗な会話が嫌でも耳に入ってくる。そいつら雑談してるから僕らのドリンクオーダーも聞いちゃおらず、相当デカい声で「ビールください!!」と言わざるを得なかった。そしてベトナム人に浴びせる怒号。「早くもっていけよ!」みたいな。おいおいおい、カウンターの中で客に聞こえるように従業員怒鳴ったらあかんって井之頭五郎も言ってただろうが!アームロックかましたろか!

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極めつけは板前の男。スマホ片手に魚の切り身を削ぎ、余った切れっ端をそのまま口に運んでいた。そんでテヘペロみたいな顔しやがってもはやイライラの頂点で食事どころではなくなりM田は飲むことすらなくなった。「怒り酒になってしまうので」と言っていたが、確かにM田がキレ始めてトラブるのも困る。彼は学生の頃からのハードモンスタークレーマーなのである。

 

それはまるでリンガーハットのスープのように

そうこうしている内にうにしゃぶが運ばれてきた。少ない具材は解凍したてなのか皿に水が溜まっていた。念願のしゃぶしゃぶにして食べてみると、かなり甘かった。というよりさっき出てきたウニコロッケの中身の味に等しかった。悪い想像は膨らむものであり、恐らくは業務用に作られたパックのスープを使い回しているのだろう、と思った。美味いことは美味いが、ウニ本来の味とはかけ離れていた。

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ゴム手袋の意義とは

かくして、初のうにしゃぶ体験は散々な結果に終わった。そんなに飲んでないがもう会計しようということになりお愛想と告げたところ、先ほどまで調理していたと思われる女性が厨房から姿を現し、ビニール手袋をしたまま会計に応じてくれた。そのまま小銭とか触ったら手袋してる意味ねーだろ!と思ったが、もう二度と来るまい。アリガトゴザマシターとベトナム人の声を背後に受けながらそそくさと店を後にした。

 

終わりに

その後、飲み直さねーとやってらんねーつって何となく入った新宿アルタ裏の「イーグル」というバーが安い上にあまりにも接客のクオリティが高かったため、今日はプラマイゼロだな、人生と同じだなつって飲みすぎてしまい帰りがまぁ大変でした。