GWに実家に帰ったら父がYouTube中毒になっていた。
四六時中流れるYouTube
元からテレビと洋画と韓国ドラマを四六時中延々観続けるという生活をしていたのだが、去年の夏に妹が帰省した際に実家のWiFi 環境を整備し、YouTubeをテレビで観る方法をレクチャーした結果このような事態になった。家で父は寝ている時以外は常にYouTubeを流しており、母は観たいテレビがあっても観れない状態がもう数か月続いていて、元号が令和に替わった流れもよく知らない状態となっていた。
単に「YouTubeを観ている」と言うとそこまで問題はないのだが、懸念すべきは視聴しているコンテンツのヤバさである。去年の夏時点ではまだ料理レシピや動物のおもしろ動画で済んでいたのだが、次第に動物のおもしろ動画が巨大生物に襲われる外人の映像になり、料理レシピがゲテモノ食い番組となり、更なる刺激を追い求めて視聴コンテンツのエグさがエスカレートしていく様が観察された。
そしてネトウヨへ
そして現在の父のラインナップは、芸能人のゲイ事情、半島情勢、UMA、宇宙人、地球に空いた大きな穴、月の裏側の文明など、だいぶアレな感じの打線に仕上がっているのだった。なお、それらのラインナップの多くがゆっくり文字が流れ初音ミク的な音声で延々と読み上げるという例の怪文書方式であり、あなたへのオススメが同ジャンル内で切り替わるやつを一日中摂取している有様である。視聴履歴を確認したところ、過激なアイキャッチ画像と共に金正恩や文在寅を誹謗するゴシック体が躍る画面が表れた。初音ミク怪文書により過剰摂取された謎知識は、強制的に餌を飲み込まされたガチョウの肝臓のように肥大化し、もはや後戻りできない状態になっているのだがそれを顕す父の言動を紹介したい。なお、いずれの発言も「YouTubeで言いよったけん確かぞ」と補足していたことに注意されたい。
「SM○Pの中で韓国人は誰だと思うか?」
と聞いてきた父に対し僕は韓国語が堪能な「草○?」と答えたところ「ククク、全員や!」というひっかけ問題を演出された。
「三峡ダムがもうすぐ崩壊して日本にまで津波が来るぞ」
世界最大の中国の三峡ダムが決壊寸前らしく、決壊すると流域の中国人1.5億人が死に日本は津波に見舞われるらしい。堤防がグニャグニャに曲がっている写真を見せられたが、後で調べたら単なるGoogle Earthの航空写真のブレに過ぎなかったようだった。
※歪む三峡ダムの堤防
「地底人は絶対おるぞ」
旧ソ連で地質調査のために地面を延々掘るという事業をやっていて、1400mばかり掘り進んだところで地底から人間の叫び声が聞こえたという。ソ連の事業チームはチンチロマイして逃げて事業は打ち切りになったそうだ。
「血圧の薬は飲まん方がよかぞ」
血圧を下げる薬をもう20年飲んでいる父曰く、全て医者が儲けるための陰謀とのこと。血圧を薬で下げてしまったら血中の流れるべき汚れを流す力が足りなくなるため薬は飲むべきでないとのこと。そして勝手に薬の量を減らしていた。
YouTuberの対義語はYouTubee
このようにネットリテラシーが皆無の高齢者にとってYouTubeは劇薬であり、もはや我々が情報ソースの不確かさを諭したところで聞く耳を持たなくなっている。YouTubeで語られることの全てを盲信する父は最近は何を食っても毒に思え、地球外生命体の存在を信じ、あれだけ好きだった韓国旅行も二度と行かないという。なかなかにヤバい状況だと思うが治す術が見つからない。YouTubeをひたすら享受する者をYouTubeeと呼びたいと思う。
終わりに
YouTube中毒を治す方法をYouTubeで検索してみたらいっぱい関連動画が出てきて世も末だと感じている。